ハッチバックやSUV、あるいはステーションワゴンにはほぼ必ず付いていて、そしてセダンにも昔はけっこう装着されていた。だが最近のセダンには、ごく一部の例外を除いてまったく付いていないもの。
それが「リアワイパー」だ。
まぁ、普段はあまり使わないリアワイパーだが、豪雨の高速道路をステーションワゴンで走っている際などには、「リアワイパーがあって本当によかった……」としみじみ思うものだ。
そんなしみじみするリアワイパーがなぜ、最近のセダンには付いていないのか? 今回はその根本的な理由を考えてみることにしよう!
文/伊達軍曹、写真/トヨタ、スバル、三菱自動車、日産自動車、マツダ
【画像ギャラリー】ともに絶滅危機!? 21世紀に入って激減してしまったセダンとリアワイパー装着車に迫る(7枚)■セダンには少数派となったリアワイパーだが……
「考えてみることにしよう!」と鼻息荒く言ったが、この件に関してはベストカーWebでも実は繰り返し取り上げられており、答えはもう有名すぎるほど有名であると言っていいだろう。
最近のセダンからリアワイパーが省略された理由は、主に以下の3つである。
1:セダンのリアウィンドウはそもそも水滴が流れやすいため必要ない
セダンのリアウィンドウというのは角度的に「寝ている」場合がほとんど。そのためちょっとした雨程度であれば、走行中は気流によって雨が吹き飛ばされ、水滴はガラス上に残りにくい。それゆえ「セダンのリアワイパーはなくても大丈夫」と考えられている。
2:セダンにはトランクがあるから、そもそも泥汚れがリアウィンドウに付きにくい
ハッチバックやSUV、ミニバンあたりはリアウィンドウが車両の後端あたりにあるため、走行中にタイヤが巻き上げた泥などでリアウィンドウが汚れやすい。
それに対してセダンは独立したラゲッジスペースが泥の巻き上げを防いでくれるため、泥汚れはリアウィンドウに付着しにくいとされている。
3:単純に空力特性が悪くなり、燃費が悪化するから
せっかくリアウィンドウを寝かせて気流をきれいに車両後方に流し、「空気の渦」による負圧の発生を抑制しようとしているセダンなのに、そこにリアワイパーがあると気流が乱れて空気抵抗が増えるため=燃費が悪化するため、セダンにはリアワイパーが付かなくなったと言われている。
「考えられている」「とされている」「と言われている」という自信なさげな表現3連発で恐縮ではあるが、以上3つの「最近のセダンにリアワイパーが付いてない理由」に文句があるわけではない。筆者も「まぁそのとおりなんだろうな」と思っている。
■なくてもよさげなクルマにも装着され、もはやリアワイパーはファッション?
だが同時に、「でも、それだけが理由ではないのでは?」ともにらんでいるのだ。
例えばトヨタ C-HRというSUVである。
ご存じのとおり、トヨタ C-HRはSUVのくせにリアウィンドウが非常に寝ていて、ほとんどクーペ的である。これだけ角度的に寝ていれば、上記1の理由に基づき、C-HRのリアウィンドウに付着した雨は走行中の気流によって後方に吹き飛ばされそうなものだ。
まぁ2の「泥の巻き上げを防ぐトランクスペース」がC-HRにはないわけだが、それでもこれだけリアウィンドウが寝ていれば、そこもなんとかなってしまいそうな予感はある。あくまで予感だが。
つまり、「C-HRはリアワイパーなしでも(たぶん)大丈夫」ということになるわけだが、それでも、トヨタ C-HRにはリアワイパーが全車に標準装備されている。
これはいったいどういうことなのか?
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