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Tuesday, October 4, 2022

生き残るため今こそ新規事業 事業企画力が成否を分ける - ITpro

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同じ事業をただ単に継続していては企業の成長はおろか生き残りも危うい。企業の存続と成長には既存事業の変革だけでなく、新規事業への取り組みが必要だ。ゼロからイチを生み出す「事業企画力」の有無がかつてなく重要となる。

 企業の寿命は事業の寿命です。企業の寿命には諸説ありますが、事業の継続が必須であることは確実です。

 企業が発展し続けるためには、事業に対する2つのアプローチがあります。1つは既存事業の内容を変化させることで継続する方法、もう1つは新たな事業を立ち上げる方法です。

 本連載は新規事業を立ち上げる方法を中心にお伝えします。新規事業の立ち上げには、ゼロからイチをつくる「事業企画力」が決定的に必要となります。初めて事業企画に取り組む際、最初につまずく「ゼロからアイデアを生み出し、事業企画の骨子をつくる」部分に焦点を当て、事業企画力をパターンに分けてそれぞれに適した事業企画の進め方を示していきます。題材として、BtoBのサービス開発を前提に解説します。皆さんの事業企画力の向上、ひいては企業の存続と発展を促すことが本連載の目的です。

 皆さんが持つITスキルや経験は新規事業立ち上げに必ず生かせます。特にDX(デジタル変革)で求められる新規事業のほとんどでITが必須であり、場合によってはITがメインの事業も多いからです。

「工数×単価」からの脱却

 筆者は新規事業の立ち上げに長い間携わり、新規事業創出プロジェクトも主宰しています。なぜシステム開発の関連部門や企業での新規事業にこだわるのか、理由があります。

 筆者は前職で大手製造業の情報システム子会社に勤務しており、当初は親会社向けの開発に従事していました。しばらくすると、親会社によってシステム予算、つまり子会社の収益が左右されることはリスクだと思い始めたのです。それを解消するために、外販事業として親会社以外の一般企業との取引が必要だという結論に達しました。

 大手SIerの下請けから始め、エンドユーザー向けにスクラッチの請負開発の事業を立ち上げたのが最初の取り組みです。幸い大きな利益を生みましたが、矛盾に直面したのです。それが「工数×単価」で対価が決まることでした。

 自社サービスで顧客がどれだけ成果(経費の削減や売り上げ拡大)を得ても、対価は「工数×単価」なのです。それは「事業を発展・拡大するためには、工数を増やすか単価を上げるかしかない」という致命的な課題でもあったのです。単価向上には限界があるため、工数を増やす、すなわち人を増やすしかありません。そもそも売り上げは増やせても利益率を上げることはできません。自転車操業なのです。

 「これでは携わる人々を幸せにできない」と確信し、請負開発で得た利益を投資に回してパッケージ事業を立ち上げる企画を上申し事業化した、というのが新規事業に携わった経緯です。その後、同様の課題を抱える企業が多いことに気付き、支援するための事業開発メソッドを体系化したわけです。

 それでは「事業企画力」を説明しましょう。新規事業の立ち上げでは、まず対象となる事業の企画を作成する必要があります。「計画を立てずにとりあえずやってみる」という方法は、「ヒト、モノ、カネ」のいずれかあるいは全てに投資を伴うため現実的ではありません。しかし実際には、事業の企画を手探りで進め、適切な判断を受けないまま投資した結果、収益を生まない事業になるケースが多々あるのです。

 そうならないよう、事業の企画には何を検討し作成すればいいのか、その作成のプロセスはどのようにすべきかを把握し、適切に実施する必要があります。それが事業企画力なのです。

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