経営指標にLTV(顧客生涯価値)を据え、全社的な構造改革を果たした化粧品メーカーのオルビス(東京・品川)。同社の小林琢磨社長と、デジタルマーケティング支援のRepro(東京・渋谷)の中澤伸也取締役CMO(最高マーケティング責任者)兼CPO(最高プロダクト責任者)が、企業が経営・マーケティング指標にLTVを取り入れるべき理由や、LTVを最大化するために必要な3つのポイントを解説する。
顧客1人が、生涯にわたり自社にどのぐらいの収益をもたらしてくれるのかを表す指標である「LTV(顧客生涯価値)」。市場や環境変化に伴い、新規顧客の奪い合いから既存顧客との関係強化にビジネスモデルが変わる中、業界問わずLTVの重要度が高まっている。しかし、LTVを経営・マーケティング視点で生かすには、“ありがちな誤解”を解きほぐすところから始める必要がある。
LTV経営を実践するオルビスの小林琢磨社長と、デジタルマーケティング支援のReproの中澤伸也CMO(最高マーケティング責任者)が、LTV向上に必要な3つのポイントを事例に基づき解説する。
※本稿は、2022年9月26日に実施した日経クロストレンド・カレッジ「~経営者・マーケター必見!『LTV』入門~オルビス代表・ReproのCMOが徹底解説 『LTV向上』に必要な3つのポイント」の一部を抜粋したものです。
ポイント① 時間軸で投資対効果を見極める
ポーラ・オルビスグループの社内ベンチャーで立ち上げた敏感肌専門ブランドの会社「DECENCIA(ディセンシア)」の社長としてD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)事業に携わった後、2018年にオルビスの社長に就任した小林琢磨氏。オルビス社長就任後は、LTVを軸とした経営へと構造改革を果たした。
LTVは、解約率を下げ購入の継続率を伸ばすことが鍵を握るサブスクリプション事業の重要指標としてよく知られ、最近では、メーカーや小売りの経営指標としても広がっている。だが、「LTVは誤解されているケースもある」と小林氏は自身の経験から振り返る。
「オルビスは通販事業で伸びたこともあり、『RFM(最終購入日、購入頻度、購入金額)分析』は相当やってきた会社だ。しかし以前は、顧客の初回購入日を起点に期間を区切りLTVを見るのでなく、会計年度単位で見た顧客1人当たりの購入単価をLTVとして定義していた。一定規模の会社になると、こうした見方でLTVを捉えているケースは珍しくないだろう」(小林氏)
なぜ、こうしたLTVに対する考え方の違いは生まれるのか。小林氏が以前に社長を務めていたディセンシアのような新興企業の場合、キャッシュフローは死活問題でありCPA(顧客獲得単価)がどのタイミングで回収できるか採算性を重視する。一方、一定の組織規模になれば当座のキャッシュフローよりも決算のウエートが大きく、会計年度単位で業績指標や財務状況を評価する。この差がLTVに対する考え方の違いを生む根っこにあるという。
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