Pages

Sunday, November 6, 2022

スイーツ食べ切る隠し味 冷凍、期限長くロス減らす 切れ端、人気商品にリメーク:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

 スイーツ商品の廃棄を減らそうと、作り手や売り手が工夫して取り組んでいる。賞味期限を長く保つために冷凍のまま販売したり、スポンジケーキの切れ端を再利用したり。根底にある共通の原動力は「もったいない」の精神だ。 (古根村進然)

冷凍カヌレを紹介する「sweets GO」のスタッフ=愛知県豊田市の三越豊田で

冷凍カヌレを紹介する「sweets GO」のスタッフ=愛知県豊田市の三越豊田で

 愛知県豊田市の百貨店内にある菓子のセレクトショップ「sweets GO(スウィーツゴー)」。店頭にショーケースはなく、クッキーやあられのほか、フランスの伝統的な焼き菓子「カヌレ」の食品サンプルが並ぶ。「プレーン−バニラ」「苺(いちご)ショコラ」など四種類、各四百円。客はサンプルを見て注文し、冷凍状態の商品を受け取る仕組みだ。運営会社社長の福山資嗣(やすつぐ)さん(39)は「購入してから一時間ほどで食べ頃になり、出来たての風味や食感を楽しんでもらえる」と胸を張る。

 同社は二〇二〇年八月からカヌレの冷凍販売を開始。岐阜市の洋菓子店が作り瞬間冷凍した商品を、在庫を見ながら仕入れている。販売期間は冷蔵保管の場合は製造日から三日間ほどだが、冷凍なら一カ月以上に延びるという。福山さんは「売れ残りによる食品ロスが減る。ショーケースを使わないため省エネのほか、店舗スタッフらの人件費削減にもなる」と話す。

 全国約千五百のスイーツ店が加盟する通販サイト「Cake.jp(ケーキジェーピー)」がメインに取り扱うのも冷凍商品だ。誕生日向けホールケーキやクッキーなど洋菓子を中心に約五千種類をそろえ、配送件数は年間四十万件に上る。

 同サイトは一七年に開設し、オリジナル商品を販売しつつ、配送時の揺れで商品の形が崩れにくい梱包(こんぽう)を独自に開発し各加盟店に販売。サイトに掲載する商品画像の撮影もサポートしている。東京の運営会社の広報担当者は「加盟店の中には受注生産に切り替え、食品ロスがゼロになった店もある。冷凍スイーツもおいしいと思ってもらえるよう認知度を高めていきたい」と語る。

ウサギノシッポとレモンパイを紹介する小田原益広さん=名古屋市千種区の「アングレーズ フィーユ」で

ウサギノシッポとレモンパイを紹介する小田原益広さん=名古屋市千種区の「アングレーズ フィーユ」で

 スイーツを余すところなく食べてもらう工夫も。名古屋市千種区の洋菓子店「アングレーズ フィーユ」で〇九年の創業時からの人気商品「ウサギノシッポ」(二百三十円)。ショートケーキなどに使うスポンジ生地の切れ端と生クリームを合わせて求肥(ぎゅうひ)で包んだ逸品だ。このほか余った果物をジャムにしたり、レモンパイにパイ生地の端をまぶしたりして廃棄を防ぐ。オーナーパティシエ小田原益広さん(50)は「僕らは素材から商品を作るので愛着が湧く。それだけに、捨てることがもったいないと強く感じる」と力を込める。

 食品ロス問題に詳しい日本女子大の小林富雄教授(フードシステム論)は「ショーケースの見栄えを大切にし、至福のひとときを演出する洋菓子業界で、冷凍販売によって消費者が賞味期限を気にせず味わえる環境があることは素晴らしい」と評価。「こだわりの材料で手作りした商品を捨てるのが嫌で、あえて少なく製造し数量限定や予約のみで販売する店も増えている。生地の切れ端などは安く売るだけでなく、高い付加価値を付けて商品化し、消費者が食品ロス削減に自然と協力しているという状態をつくり出すことが望ましい」と話す。

関連キーワード



おすすめ情報

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( スイーツ食べ切る隠し味 冷凍、期限長くロス減らす 切れ端、人気商品にリメーク:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞 )
https://ift.tt/KY1p9ri

No comments:

Post a Comment