イケアはなぜ、脱炭素やダイバーシティーなどの課題に徹底的に向き合うのか。10万人以上の従業員を抱える大企業が官僚的になることをいかに防いでいるのか。イケアの運営会社、インカグループのブローディンCEOに経営の神髄を聞いた。
(写真=鈴木 愛子)
PROFILE
ジェスパー・ブローディン[Jesper Brodin] 氏
イケアの運営会社、インカグループCEO。1968年スウェーデンのイエーテボリ生まれ。チャルマース工科大で産業エンジニアリングの修士号取得。95年にイケアに入社し、パキスタンの購買マネジャー。99~2002年に創業者イングヴァル・カンプラード氏のアシスタントを務める。08年から中国の地域マネジャーに就き、11年からサプライチェーンのマネジャーに。13年からイケア・オブ・スウェーデン社長。17年9月から現職。趣味はギター演奏。
イケアでは経営の中でサステナビリティーをどう位置付けていますか。
消費行動の変化も含めたデジタル革命や世界の政治的動向もありますが、一番大きなテーマは気候変動です。気候変動と消費活動の組み合わせは脅威であり機会でもあります。我々は、何もしないことがリスクになることをかなり早く気付きました。
世界の人口が100億人になろうとしているという事実がある今、限りある資源はすべての人に関係がある問題となりつつありますが、気付いている企業はごくわずか。私たちは早くから再生可能エネルギーの必要性を理解し、既に風力発電と太陽光発電に30億ユーロ(約4350億円)以上を投じてきました。最終的には計65億ユーロを投資する予定です。
イケアにとって、循環性はビジネスモデルの一環です。以前は安価な原材料と労働力が注目されていましたが、今後は再エネと材料の再利用のコストの低さが注目されることでしょう。小さな店舗でも中古品コーナーを設けており、日本では既に3万もの製品を買い戻しています。
中古品の販売が増えると、新製品の販売に影響が及びませんか。
重要な2つのことをお伝えします。1つは、恐れようが恐れまいが、それは起きつつあるということです。特に衣服や家具では中古品の人気は大変高まっています。だからといってそれを恐れるというような会話はしたことがなく、どう自分たちのビジネスモデルに入れ込んでいくかを模索しています。
2つ目は、消費をやめることは起こらないということです。これもよくある誤解で、若い世代でさえ「中古品のみを買うべきだ」と言うんですね。新しい商品の購入をやめることが気候変動問題の解決につながるというのは思い込みで、それは正しくありません。10年、15年持つマットレスを作れても、500年の耐久性を持たせることはできないでしょう。
つまり、どこかの時点でマットレスは回収しなければならないのです。電気自動車(EV)やその他の乗り物も同じです。商品寿命を延ばし、サプライチェーンを通じて温暖化ガスの排出量を差し引きでゼロ以下にする方法を探っていきます。
からの記事と詳細 ( 「失敗したら、私と謝ろう」 イケア運営会社・ブローディンCEO - 日経ビジネスオンライン )
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