ガの研究を続ける京都大学院生が、葉っぱを食べた幼虫の糞(ふん)を活用した「虫糞茶(ちゅうふんちゃ)」の商品化に取り組んでいる。桜や栗など「原料」となる植物や虫の種類によって、茶の味や香りが一変し、約70通りの組み合わせを分析。試作品が完成し、糞のイメージを一新する「虫秘茶」と命名した。食欲旺盛な幼虫が食べる葉を大量生産するため借地で植樹も進めており、資金を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。
京大院生、試作品を完成
京大農学研究科博士課程1年の丸岡毅さん(26)=京都市左京区。植物や昆虫を扱う化学生態学の研究室に所属し、先輩の院生が農園から大量に持ち帰ったマイマイガの幼虫を桜の葉で育てていた。2021年5月、試しに乾燥した糞に湯を注いで飲んでみると、紅茶のような香りや味がすることに気づき、研究にのめり込んだ。
虫糞茶は中国の一部地域で漢方薬の一種として珍重されている。丸岡さんは香りと味がより良い独自の茶を目指し、各地でさまざまな虫と植物を採取。30種以上のガやチョウの幼虫に、リンゴやミカンなど20種の植物の葉を食べさせて最高の組み合わせを探った。幼虫が葉を消化する過程でうまみや善玉菌が増えると考えられ、糞茶を化学分析して、茶のうまみ成分であるテアニンや健康維持に有用とされるポリフェノール類の量も調べた。
独創的な研究が毎日新聞で22年1月に紹介されると多くの反響があり、賛同したデザイナーや茶道家らの協力も得て具体的な普及計画が進んだ。
丸岡さんは「糞は葉が原料なので汚くなく、経口摂取しても人体に害もないが、印象が良くないことが分かった」と話し、商品名は「虫秘茶」に決めた。桜の葉をイラガの幼虫が食べた甘みの強い茶と、栗の葉とオオミズアオの組み合わせでクルミのような香ばしさが楽しめる2種類が完成。ティーバッグに入れた試作品をCFの返礼品とする。
茶の生産には大量の葉が必要となるため、京都市北部や兵庫県丹波篠山市に土地を借り、仲間と一緒に桜などの植樹も始めた。各地の山や川に赴き、夜間に水銀灯をつけて虫を集め、自宅などで飼育や交配を続けているほか、糞を機械で乾燥させるのにも費用がかさむという。
丸岡さんは「葉と幼虫がいれば生産でき、雇用の創出や農家の副業など地域活性化につなげられる」と語り、商品化と同時に、地域おこしに取り組む地方の団体との協力も進めている。「将来は青森県のリンゴや沖縄県のオキナワウラジロガシの葉など、各地固有の生態系を反映した地域特産の『虫秘茶』を生産したい」と夢を描く。
CFは専用のサイト(https://camp-fire.jp/projects/view/639224?utm_campaign=cp_po_share_mypage_projects_show)で。【千葉紀和】
からの記事と詳細 ( 植物食べた幼虫糞で「虫秘茶」 香りと味良し、CF募り商品化へ - 毎日新聞 )
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