「同じような味わいのビールを売ってきたのは、日本のビール会社の怠慢だった」
酒類大手キリンホールディングス(HD)の磯崎功典社長はいま、こんな反省を口にします。市場がしぼみ続けたことの責任は、「若者のビール離れ」にあったのではなく、消費者に向き合ってこなかった自分たちにこそある、と。ビールの魅力をもう一度取り戻そうと力を入れるのが、キリン流の「クラフトビール」です。
いそざき・よしのり 69歳 慶応大経済学部卒業。1977年にキリンビール(現キリンホールディングス)入社。30代半ばで米コーネル大ホテル経営学部に留学し、帰国後はホテル事業を立ち上げた。広報担当部長や経営企画部長などを経て、15年から現職。神奈川県出身。
――2022年は14年ぶりに缶ビールを値上げしました。飲食料品に限らず、身近なものの価格も上がっています。消費はどうなるとみていますか。
「消費は二極化しています。所得が30億円以上の人が200~300人いるとされるように、値上げに全く動じない層もいます。一方で、本当に大変な人もいます。どう生活を、人生を守るか。価格を抑えたプライベートブランド(PB)を選ぶ方もいるでしょう。ビールは嗜好(しこう)品で、一番最初に買うものではありません。(酒類業界も)楽観できません」
――業界には明るい材料もあります。23年には酒税が見直され、「一番搾り」などのビールは減税され、安くなる見通しです。
「長い間待っていました。日本は世界に類をみないほど、ビールにかかる税金が高かった。だからこそ税金の少ない発泡酒に参入し、第3のビールをつくって、企業努力によっておいしくしてきました。でも、本当は皆さんにビールを飲んでほしい。26年にもビールはさらに減税となります。良い傾向だと思っています」
効率ばかり追いかけて失った「魅力」
「税負担の軽くなるビールの…
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