日本のデジタルインフラが抱える根本的な課題と、理想の姿とは――。デジタル庁の顧問として国のデジタル政策に関与する慶応義塾大学の村井純教授と北海道の鈴木直道知事は2022年12月2日、日本経済新聞社と日経BPが共催した「デジタル立国ジャパン2022Winter」で、クラウドサービスやデータセンターなど、デジタル時代を支える社会インフラの在り方について意見を交わした。
日本におけるデジタルインフラの課題の1つが、データセンターの立地だ。災害やテロが起きた際の影響、いわゆるデジタル経済安全保障について考えた場合、データセンターは複数の地域に分散している方が良い。
しかしこれまでは、都市圏にデータセンターを開設するのが一般的で、日本では首都圏への「一極集中」と言える状況になっている。これは「データセンターがオフィスの近くにあれば、センターにある自社所有のコンピューターに何らかの問題が起きた際、すぐ現場に駆けつけて対応に当たれる」(村井教授)という事情があったからだ。
世界ではデータセンターが「北上」している
近年、この状況が変わりつつあるという。村井教授は「クラウドサービスが普及したことにより自社でサーバーを持たない企業が増え、データセンターがオフィスの近くにある必要がなくなった」と説明する。
首都圏に縛られずにデータセンターの立地を考えられるとなると、どこが最適なのか。村井教授は北海道を挙げる。「発熱するコンピューターの冷却効率を高める観点から、世界的にも設置場所が『北上』している。日本では北海道が最適だ」(村井教授)という論理である。
世界各国と海底ケーブルを接続するという観点からも、北海道には優位性があるという。「特に金融分野は通信処理に低遅延(高速性)を求める。米ニューヨークや英ロンドン、フランスのパリといった北半球の金融都市を(通信ケーブルで)ネックレスのようにつなげると、距離的にも日本では北海道が最も近い」とした。
電力面でも「北海道に強み」
ニーズを踏まえ、北海道も動き出している。2021年から5か年計画で、ICTによって北海道のあらゆる課題の解決を目指す「北海道Society5.0推進計画」を進めており、その中でデータセンターの誘致にも取り組んでいる。鈴木知事は「国内最大規模のデータセンターを誘致する」と宣言するなど、先頭に立って進めている。
鈴木知事はデータセンターを北海道に設置した場合の電力面におけるメリットについて次のように説明した。「現状、北海道は電力に多くの余裕がある。さらに気候が寒冷であるためにデータセンターの冷却を少ない電力で効率的に行える。日本の国土の22%を占める広大な土地があるため、再生可能エネルギーの発電所を多数建設できるポテンシャルも備えている」。
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