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Monday, March 27, 2023

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年初から好調のNASDAQ100

先週閉幕したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、日本代表がメジャーリーグのスター選手を揃えた米国代表を3対2で下し、3大会ぶり(14年ぶり)3度目の世界一に輝きました。日本国民と野球ファンの期待に100%応えてくれた日本代表、おめでとうございます!そして感動をありがとうございました。また、今大会はメキシコ、キューバ、プエルトリコなどの中南米勢の活躍とイタリアをはじめとした欧州勢の健闘も目立ちました。

さて、今回はWBC決勝で対戦した日本と米国に、健闘した欧州を加えて、株価指数の値動きを振り返ります。

まず、2023年に入ってからの日米欧の株価指数は図表1となっています。日本は225銘柄で構成される日経平均、欧州はユーロ圏主要11ヵ国の流動性の高い50銘柄を対象としたユーロ・ストックス50、米国は株価指数によって差があるため、各業種の代表的な銘柄で構成される30銘柄のNYダウ、米国株の代表的な約500銘柄で構成されるS&P500、NASDAQに上場する金融株を除く時価総額上位100銘柄で構成され、ハイテク株の比率が高いNASDAQ100の3つ、計5つの株価指数を比較します。

2023年に入ってからの順位は、NASDAQ100、ユーロ・ストックス50、日経平均、S&P500、NYダウとなっています。欧州と日本は比較的底堅く推移し、米国はNASDAQ100が好調も、S&P500がやや低迷、NYダウがマイナス圏となっています。景気敏感株の比率が高いとされるNYダウの低迷が目立っており、エネルギー株や金融株などの下落が影響しています。米国株は二極化という動きです。

年初から好調といえるNASDAQ100ですが、2021年末からでみると5つの株価指数の順位は変わります(図表2)。ユーロ・ストックス50、日経平均、NYダウ、S&P500、NASDAQ100の順です。米国株3指数の中では、1位と3位が入れ替わります。約1年3ヵ月では下落からの反発ともいえるNASDAQ100について、今後の反発力の持続性について検証します。

2022年におけるNASDAQ100の下落要因の1つは、金利上昇にありました。長期金利が上昇すると、ハイテク株などの成長株が売られやすくなります。これは、成長株は一般に、株価を1株当たりの利益で割った株価収益率(PER)が高く、PERの逆数である益回りが低い傾向にあるため、長期金利の上昇局面では、相対的な益回りの低さが嫌気されるためです。

その米国長期金利ですが、2022年10月24日の4.246%をピークに低下傾向となっています(図表3)。FRB(米連邦準備委員会)による利上げは終盤とみられ、足元の長期金利は将来の利下げを織り込んでいる状況といえます。3月に入ってからの長期金利の低下はシリコンバレーバンク破綻などによる金融システム不安も要因といえますが、長期金利の低下傾向はNASDAQ100には支援材料と考えられます。また、NASDAQ100には金融システム不安の影響が大きいと考えられる金融株が入っていないこともポイントといえます。

次にNASDAQ100の予想EPS(1株当たり利益)の推移は図表4になります。予想EPSは2022年5月にピークをつけて低下傾向にありました。つまり、昨年5月以降はNASDAQ100構成銘柄の業績見通しが伸び悩んでいた訳ですが、これが2023年2月上旬にわずかながら上昇に転じました。3月に入ってからNASDAQ100が底堅くなっているのはEPSの回復が一因と考えられます。これは、大手テクノロジー企業を中心に人員削減が加速し、リストラ効果が顕在化していることも要因とみられます。今後の株価指数の上昇はEPS回復の持続力が鍵となりそうです。

図表5はバリュエーション(企業価値評価)を示す1つの指標である予想RER(株価収益率)の推移です。NASDAQ100の過去10年間での平均予想PERは22.01倍です。3月17日時点の予想PERは24.92倍となっており、やや割高な水準といえますが、2021年前後にみられた割高感は解消されています。今後、米国景気の底割れや金融システム不安には注意する必要がありますが、インフレが落ち着いて利下げ見通しが強まって、NASDAQ100採用銘柄の業績拡大が続けば、株価は反発しやすいと考えられます。

図表6はSBI証券取り扱いの「国際株式」カテゴリーでNASDAQの名称が付くファンドを1年リターンでランキングしました。参考として主にNASDAQ100の主力銘柄で構成されるFANG+インデックスのファンドも表示しました。

図表1 日米欧 株価指数の比較① (2022年12月末~2023年3月23日 2022年12月末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 日米欧 株価指数の比較② (2021年12月末~2023年3月23日 2021年12月末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表3 米国長期金利(10年国債利回り)の推移(2018年12月末~2023年3月23日) 

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表4 NASDAQ100 予想EPS(1株当たり利益)の推移 (2013/3/29~2023/3/17 週次)

※BloombergのデータをもとにSBI証券作成
※予想EPSは12ヵ月先

図表5 NASDAQ100 予想PER(株価収益率)の推移 (2013/3/29~2023/3/17 週次)

※BloombergのデータをもとにSBI証券作成
※予想PERは12ヵ月先

※ SBI証券取り扱いの「国際株式」カテゴリーでNASDAQの名称が付くファンドを1年リターンでランキング(実質レバレッジ・業種別・為替ヘッジありのファンドは除外、2023年2月末基準)

NASDAQ関連ファンドの運用成績は?

1年リターンで1位は、iFreeNEXT NASDAQ 次世代50です。このファンドは、将来的にNASDAQ100への組み入れが見込まれる企業のパフォーマンスを追跡するために設計された株価指数であるNASDAQ Q-50への連動を目指すファンドです。1年ではNASDAQ100インデックスファンドよりも好フォーマンスです。ただし、3ヵ月では中小型株の指数が相対的に低迷していることもあってNASDAQ100に劣後していると考えられます。

2位から6位はNASDAQ100インデックスファンドです。同じ指数に連動を目指すインデックスファンドのため、パフォーマンスに大きな差はありませんが、この中で絞るなら1年リターンが上位のeMAXIS NADSAQ100インデックスと3年以上の運用実績があるiFreeNEXT NASDAQ100インデックスの2本だと考えます。

7位と8位はともにNASDAQ上場株式を投資対象とするアクティブファンドで、NASDAQに上場している3,000以上の銘柄全てを対象としたNASDAQ総合を参考指数としています。NASDAQ総合はNASDAQ100と比較するとパフォーマンスに差が出ており(図表6)、これらのアクティブファンドがNASDAQ100インデックスファンドに劣後している一因と考えられます。

参考として表示したiFreeNEXT FANG+インデックスは3ヵ月リターンが良好です。FANG+インデックスは10銘柄への集中投資であり、3ヵ月では組入銘柄であるメタ・プラットフォームズとエヌビディア(※)の株価大幅上昇が寄与しています。

2022年は苦戦したNASDAQ100ですが、2023年については条件が揃えば巻き返しの年になるのではないかと予想します。このような環境下では米国株式への投資は、S&P500インデックスファンドに加えてNASDAQ関連ファンドへの分散投資が有効と考えます。また、NASDAQ100が相対的に強い相場が続けば、成長株アクティブファンドの復活も期待されます。

※個別銘柄の取引を推奨するものではありません。

図表6 NASDAQ100、NASDAQ総合、S&P500の比較  (2019年12月末~2023年3月23日 2019年12月末=100)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

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