ビジネスシーンで見聞きする機会も多い「たたき台」という言葉は、おじさん世代の間で使われることが多いビジネス用語を指す「おっさんビジネス用語」の一つとしても知られている。
若い世代の方の中には、上司に「来週までにこの企画のたたき台を作ってほしい」などと頼まれて、何のことかわからずに困惑した経験のある方もいるかもしれない。
そこで本記事では、ビジネスシーンでよく使われる「たたき台」の意味や由来をはじめ、使い方や、類義語・対義語についても解説する。「たたき台」の使用を避けるべき場面や英語表現も併せてチェックしておこう。
たたき台とは?
まずは、ビジネスシーンで使われる「たたき台」の意味と言葉の由来を見ていこう。
アイディアを形にする前の原案のこと
たたき台とは、具体的な企画や資料を作成する前に、修正を加える前提で作る下書きやアイデアを形にする前の原案のこと。企画案や資料を作成する前に、大まかな骨組みとなるたたき台を作ることで、目的に沿い、かつ筋の通った内容の資料作成の助けになるほか、その後の計画をスムーズに進めやすくなる。
言葉の由来
ビジネスシーンで使われるたたき台を漢字で表すと「敲き台」となる。「敲き台」は、もともと鍛冶屋が鉄製品を作る時に使っていた道具の名前だ。刀鍛冶では、熱した金属の棒を金槌で何度も叩きながら刀の形に近付けていく。この時に熱した金属を載せる台が敲き台だ。
金属を何度も叩いて形を整える鍛冶屋の製造方法を、何度も思考を巡らせたり議論を重ねたりしながら原案を作る様子に例え、次第に「修正を繰り返しながら、よりよい案を得るための企画の原案」という意味で「たたき台」が使われるようになった。
たたき台の使い方・使用シーン
ここからは、ビジネスシーンにおける「たたき台」の使い方と使用シーンについて紹介しよう。
例文
たたき台は、基本的に社内でのコミュニケーションで使われることが多い。
【例文】
「今度のプロジェクトで提案する企画のたたき台を作ってみました」
「明日の会議までに、WEBサイトに載せるコンテンツのたたき台を作ってもらえますか?」
「筋の通った文章を書くためには、たたき台をしっかり作っておくことが肝心だ」
使用を避けた方がいい場面
たたき台は、ややくだけた印象を与える言い回しのため、社外の人に対して使うと、失礼に捉えられることもある。そのため、たたき台という言葉は、あくまで社内での使用に留める方が無難だろう。
また、たたき台は、草案を意味する言葉であるため、すでに進行中の企画に対してアイデアを出したり、具体的な計画を作成したりする際に使うのは誤用と言える。
たたき台の類義語・対義語
次に、たたき台の類義語と対義語を見ていこう。
たたき台の類義語
たたき台の類義語としては、以下の4つが挙げられる。
1.試案:試みを立てた案・仮の計画や意見のこと。
2.素案:ごく大まかな案のこと。
3.草案:規約や法律などの文章の下書き、正式な形になる前の文章のこと
4.原案:企画のもとになる最初の案のこと。
それぞれ少しずつニュアンスが異なる言葉であるため、時と場合に合わせて使い分けできるようにしたい。
たたき台の対義語
すでに出来上がっている考えや文案を意味する「成案」は、たたき台の対義語と言える。国会などの議会においては、ある議案に関して意見が一致することを「成案を得る」と表すことがある。
たたき台を英語で表現すると?
最後に、たたき台の英語表現を3つ紹介する。仕事で英語を使う機会が多い方は、ぜひチェックしておこう。
・draft(下書き、草稿、下図)
「prepare a draft of〜」で「〜のたたき台を用意する」と表現できる。
例文:Please prepare a draft of the contract by tomorrow.
(明日までに、契約書のたたき台を用意しておいてください)
・tentative plan(仮の案)
「tentative〜」で「仮の〜」と表せる。
例文:We will prepare a tentative plan. Please check the conditions.
(契約のたたき台を作ります。条件をご確認ください)
・outline(あらまし、大要)
「大筋」を意味し、日本語でもカタカナ表記の「アウトライン」は定着している
「Outline〜」で「〜の要点(概要)を説明する」と表現できる。
例文:Can you outline your proposal?
(あなたの企画案の要点をご説明いただけますか?)
文/編集部
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