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Thursday, July 6, 2023

相乗積とは意味や計算方法小売店におけるや基本的な活用方法など ... - リテールガイド

近年のIT技術の急激な進化に伴い、小売店の売上向上に必要なデータの収集・管理・分析の作業は簡素化されつつある。データドリブンな店舗経営が当たり前となり、データの利活用の重要性も一層高まる中、マーケティング戦略を立案する際に活用されるデータ指標の一つが相乗積だ。

本記事では、小売店を展開する際に知っておきたい相乗積の意味から計算方法、小売店における活用方法まで解説していく。

相乗積とは?

相乗積(そうじょうせき)とは、部門・商品群ごとの粗利構成比を表す数値で、言い換えると店舗の利益貢献度を数値化したものである。主に小売店で用いられる相乗積は、重点的に利益を改善していきたい部門・商品群を見極める際や、売り場面積・商品位置など売り場レイアウトを改善する際に有効。

例えば、ある商品群の相乗積が低い場合、利益に大きく貢献していないと判断できるので、別の商品に入れ替えたりレイアウトを変更するなどの施策を打ち出すことも可能となる。

経済産業省が発表したデータによると、2022年の小売業販売額は154兆4,020億円と、前年比2.6%の増加。Withコロナ時代の新しいライフスタイルが消費者に定着しつつあり、小売業界の活気も戻ってきている。

しかし、大手企業による寡占化が進む業態も存在しており、特に中小規模の小売店は売上を伸ばすためのマーケティング施策を実行することが必要不可欠である。マーケティング戦略を立案する際の指標として、相乗積を用いることも一つと言えるだろう。

相乗積の計算方法

相乗積は「売上構成比×粗利益率」で求められる。例えば、全国スーパーマーケット協会が発表した「スーパーマーケット販売統計調査 2022年4月実績」の売上構成比と、スーパーマーケット統計調査事務局が掲げる「目標とする利益率」を基に、スーパーの各部門の相乗積を計算した結果が下記の通りである。

部門 売上構成比 粗利益率 相乗積
青果 14.1% 23.4% 3.29%
水産 8.5% 28.5% 2.42%
畜産 11.6%  28.6% 3.31%
惣菜 10.8% 37.5% 4.05%
日配品 20.1% 22.9% 4.60%
一般食品 26.2% 18.4% 4.82%
非食品 6.6% 20.3% 1.33%
その他 2.1%
合計 100% 23.82%

一例として惣菜を見てみると、惣菜の相乗積は「売上構成比:10.8% × 粗利益率:37.5% = 4.05%」と算出できる。相乗積は数値が高いほど利益の貢献度も高くなる。なお、合計の「23.82%」は店舗全体の粗利益率を指す。

上記例の場合、一般食品の「4.82%」が最も大きい数値のため、一般食品の売り場面積を増やして売上構成比を上げたり、利益率の高い一般食品を積極的に選定していくべきと判断可能。相乗積を算出することで、注力・改善したほうが良い部門・商品群が見えてくるだろう。

相乗積の小売店舗における活用方法

ここでは、相乗積を算出することで、小売店舗のマーケティングにどのように活かせるのか、その活用方法を紹介していく。

売り場レイアウトの見直し

相乗積を算出した際、まず検討したいのが売り場レイアウトの見直し。前述の生鮮3部門を例に、事例を見ていく。

部門 売上構成比 粗利益率 相乗積
青果 14.1% 23.4% 3.29%
水産 8.5% 28.5% 2.42%
畜産 11.6%  28.6% 3.31%

生鮮3部門の中で、相乗積の数値が最も低いのは水産の「2.42%」であるが、当然ながら水産食品は食事に不可欠な食べ物であるため、撤退する選択肢は無し。ここで着目したいのが青果で、青果は粗利益率が「23.4%」と、水産の「28.5%」より低いにも関わらず売上構成比は高い。

もちろん、需要のバランスも考慮する必要はあるが、青果の売り場面積を縮小して売上構成比を下げ、同時に水産の売り場面積を拡大して売上構成比を上げれば、全体の相乗積を高めることも可能である。

売り場レイアウトは売上に直結する非常に重要な要素であり、効率的な販売につながる。経験や勘に頼るケースも多いが、相乗積をはじめとしたデータも活用し、売り場レイアウトを設計していきたい。

前出しの優先度を決める際に役立つ

前出しとは、商品を棚の縁まで前進させ、手に取りやすくしたり視認率をアップさせたりする作業のことを指す。

棚に並べられた商品は基本的に前から取られていくが、棚の奥にある商品が見えず、屈み込んでようやく発見したという経験がある人も多いはず。棚の奥に商品が残っていても、場合によっては消費者に品切れと思われる可能性もあるため、前出しは従業員の重要な作業の一つと言える。

店頭の商品数が膨大であると、優先順位を決めて前出しを行っていく必要があるが、この優先順位を決める際に相乗積は有効。相乗積の高い部門・商品群を従業員に共有し、優先的に前出しをしてもらえれば、視認性の悪化に伴う機会損失を防止できる。

なお、前出しの優先順位を決めるための要素は相乗積だけでなく、売れ筋商品、トレンド商品、店舗のイチオシ商品、在庫管理コストを圧迫している商品などさまざまな要素が存在するので、店舗の方針に沿って決めてほしい。

相乗積のまとめ

小売店の利益を最大化する手法としては、顧客単価を上げる、ポップを用いる、商品の適正価格をリサーチするなどさまざまである。その手法の一つに挙げられるのが、相乗積を利用した売り場レイアウトの改善で、利益率の改善を見込める。

また、相乗積の計算方法は比較的容易で、部門・商品群ごとの売上構成比と粗利益率だけで算出できるのも嬉しい。効率的なデータ活用で、自店の課題解決・利益向上に努めてほしい。

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