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Wednesday, July 26, 2023

サブスクきっかけに重要性増す「顧客対応」、つなぎとめるために ... - 日経 xTECH Active

 DX(デジタルトランスフォーメーション)時代の業務改革として今回は「顧客対応」を扱う。ここでいう顧客対応は、商品・サービスについて顧客からの問い合わせに対応する「アフターサービス」や「カスタマーサポート」と呼ばれる業務で、1980年代から「お客様相談室」などの組織で行われているものだ。商品・サービスのコモディティー化が進む現代社会では、「顧客体験(CX)」向上の重要性が一段と高まっている。顧客対応は、CX向上の一翼を担うことで競争優位を確立する重要な業務の一つになっている。

 顧客対応の重要性が増したきっかけは、数年前から「サブスクリプション」や「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」といった継続課金モデルのビジネスが盛んになったことだろう。このモデルでは、顧客との契約の継続率(あるいは離脱率)をKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)に設定することが少なくない。商品・サービスの機能面が他社に見劣りしないことを大前提にすれば、顧客の悩みや困りごとを解決するカスタマーサポートが継続率を左右するようになるのは自然な流れだ。

カスタマーサポートを変革

 近年では、カスタマーサポートを発展させた「カスタマーサクセス」という概念にも注目が集まっている。顧客の成功体験を支援するカスタマーサクセスは新しく見えるようで、商品・サービスの機能面以外で競争優位を確立するという位置づけはカスタマーサポートと同じである。大きな違いは、カスタマーサクセスでは「プロアクティブ(能動性)」が求められるのに対して、カスタマーサポートでは「リアクティブ(効率性)」が中心になるという理解が一般的だ。しかし、必ずしもそうではない。

 一例としては、カスタマーサポートにおいても、顧客の悩みや困りごとを先回りして早いうちに解決することが、結果的に問い合わせの件数や対応工数の削減、ひいてはコスト効率の向上につながることが挙げられる。つまり、カスタマーサポートでもプロアクティブであることは重要になっているわけだ。そこで、この記事では、プロアクティブな広い意味のカスタマーサポートも含めて「顧客対応」という言葉を使うことにしたい。

 顧客対応が競争優位を確立する要素として重要になったのであれば当然、幅広い顧客にできるだけ手厚く対応するのが理想だが、すべての対応を人間が工数をかけて行うのは現実的ではない。これからの顧客対応では、工数をどう削減するかという「効率化」と、満足度の高いサポートをどう提供するかという「高度化」の視点でデジタル技術の適用を考えることがポイントになる。

 では、具体的に顧客対応という業務をどう改革すればよいのだろうか。本稿では、「顧客が現在の顧客対応にどのような不満を抱いているのか」を確認したのち、「顧客対応プロセスとそのポイント」を解説。その後「顧客対応を改革するための2つの視点」をもとに改革の方向性を事例で紹介し、最後に「これからの顧客との関係構築」について筆者の見解を述べよう。

不満は待たされることだが、有人対応が必須ではない

 まず、「顧客が現在の顧客対応にどのような不満を抱いているのか」について明らかにしよう。  最初に、顧客が企業への問い合わせに利用する手段を確認しておこう。トランスコスモスが運営する情報サイトの調査(※1)では、カスタマーサポートへの連絡で最初に選ぶ手段として「電話/オペレーター」を選択する回答者が最も多く38.6%を占めている。ただ、注目すべきは「問い合わせフォーム」(24.8%)や「WebサイトのFAQ」(19.5%)といった無人対応を選択する利用者も少なくないことだ。おそらく“無人対応では回答が限定的になる”といった先入観などにより、最初の問い合わせで有人対応を選択する利用者が最多となったのだろうが、有人対応と遜色のない回答が無人対応でも得られるようになれば、無人化の流れが加速する可能性がある。

※1 出典:「オムニチャネル意識調査2022」,トランスコスモスが運営するCotraの記事,https://ift.tt/vIaqzxT

 続いて本題の「どのような不満を抱いているのか」という点だが、同じトランスコスモスのサイトの調査(※2)によると、「電話で長時間待たされた」(41%)、「たらい回しにされた」(27%)、「回答に時間がかかった」(26%)──など、スムーズに悩みや困りごとが解決しないことに不満を持つ回答者が多い傾向が分かる(図1)。

図1 カスタマーサービスに対する不満

図1 カスタマーサービスに対する不満

「オムニチャネル意識調査2022」(トランスコスモスが運営するCotraの記事、https://www.transcosmos-cotra.jp/report/omnichannel-awareness-survey-2022-2)をもとに作成

[画像のクリックで拡大表示]

※2 出典:「オムニチャネル意識調査2022」,トランスコスモスが運営するCotraの記事,https://ift.tt/gjJG3y2

 つまり、顧客にとって最優先なのは、悩みや困りごとをスピーディーに解決することだ。これは、カスタマーサポートに相談する状況は一般に、「急いでアカウントのロック解除したい」「身に覚えのない請求があるので至急確認したい」などの緊急時であるためだろう。また、顧客は有人対応を積極的に選びたいわけではなく、スピーディーに解決すれば無人対応でも問題はない。ただ、現状では無人対応で解決することが多くないため、ある意味“仕方なく”「電話/オペレーター」という有人対応を選んでいるのが実情のようだ。

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