最終更新日:2023/08/25
AI-OCRとは、AIを利用した文字データ認識システムのことです。AIによる認識率の向上や業務の効率化などさまざまなメリットがありますが、注意しておきたいデメリットもあります。そこで、こちらではAI-OCRのメリットやデメリット、導入のポイントについて解説します。これからAI-OCRの導入を考えている方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
AI-OCRとは
AI-OCRとは、AIを使ったOCRのサービスやシステムのことです。そもそもOCRとは、プリントされた文字や手書きの文字をデジカメなどでスキャンし、コンピューターが使えるコードに変換するテクノロジーのことを指します。
AI-OCRは、AIが学習を繰り返すことで文字認識能力が上がるため、OCRでは困難と考えられてきた手書きの文字にも対応可能です。また、日本語のように複雑な言語や業界用語にも対応でき、文字認識の幅を広げてくれます。
OCRとAI-OCRの違い
OCRとAI-OCRの違いは、AIを使っているか否か、ということです。AI技術が加わることによってシステムの精度が上がり、通常のOCRより正確な文字認識が可能になります。
また、前処理を必要とせず、細かな設定がなくても多種多様なフォーマットに対応できるところもAI-OCRの特徴です。一方で、従来のOCRは前処理が必要なため、読み取る項目や位置を細かく設定しなければならず、定型フォーマット以外には対応できません。AI-OCRは、より正確かつ効率的な文字認識が可能になったシステムだといえるでしょう。
AI-OCRのメリット
こちらからは、AI-OCRのメリットについて解説します。主なメリットは、以下の通りです。
【AI-OCRのメリット】
- データ入力の業務が効率化できる
- データの検索や共有が簡単に行える
- 人的ミスを減らすことができる
- ペーパーレス化やDX化のきっかけになる
AI-OCRを使うと、今まで手作業で行っていたデータ入力の手間が減り、ミスを減らすことにも繋げられます。さらにペーパーレス化やDX化の促進によって、業務の効率化などのメリットも得られるでしょう。AI-OCRができることを確認し、業務に役立ててみてください。
データ入力の業務が効率化できる
AI-OCRによる文字の読み取りスピードは、書類1枚あたり数秒〜数十秒ほどです。AI-OCRを使わない場合、人の手で1文字ずつデータ化しなければならず、書類の量が多くなればなるほど作業完了までの時間も手間も増えます。さらに手作業で入力を行った後は、データに誤りがないか目視によるチェックも行う必要があります。
AI-OCRを使うことで、手作業で行っていた業務が自動化され、今まで費やしてきた時間や手間の大幅削減が可能です。効率的にデータ化が済めば、RPAをはじめとしたシステムへの入力も容易になります。
【AI-OCRによって効率化が期待できる業務の例】
- 金融業:口座開設申請書類の処理など
- 医療業:医療請求書の処理など
- 製造業:検査報告書の読み取りなど
- 物流業:納品書や受注書の読み取りなど
データの検索や共有が簡単に行える
紙に記載されていた文字をデジタル化すれば、検索や共有が簡単に行えるようになるのも大きなメリットです。紙のままの状態だと、必要なデータを出すために毎回保管場所へ行かなければならないのに加え、どのデータがどこにあるのか探すのに手間がかかることがあります。
一方で、AI-OCRでデータ化していれば遠隔でデータの検索が可能になり、他者との共有も簡単です。検索や共有の手間が減ることで業務が効率化し、遠隔でやり取りをすることが多いリモートワークにも対応できるようになります。
人的ミスを減らすことができる
AI-OCRは、AIの学習能力によって認識率の精度を高めることができるため、利用するごとに正確性が増し、人的ミスの軽減に繋げられます。全て手作業でデータ入力を行った場合、どんなに気をつけていても打ち間違いをしたり、間違いを見過ごしてしまったりといった人的ミスは免れません。確認作業に時間がかかり、人件費がかさむ原因にもなります。
もちろんAI-OCRも誤認識する場合がありますので、後の目視確認は必要です。しかし、データ入力を自動化しておけば担当者は確認作業のみに集中できるため、人的ミスの削減に繋げられます。
ペーパーレス化やDX化のきっかけになる
AI-OCRで文字データをデジタル化し、サーバーに収めておけば紙の書類で保管する必要がなくなり、ペーパーレス化やDX化のきっかけになります。例えば、取引先から送信されたFAXをサーバーで保管し、AI-OCRでデジタル化する仕組みを作っておけば、毎回紙で印刷せずに済むでしょう。また、取引先から受け取った名刺もデジタル化することで管理・保管の手間が減り、必要な情報のスムーズな検索・共有も可能です。ペーパーレス化やDX化が進めば業務が効率化するのに加え、書類の保管スペースも削減できるようになります。
AI-OCRのデメリット・課題
さまざまなメリットがあるAI-OCRですが、課題もあります。有効活用するためにはあらかじめ注意点を押さえておくことが大切になりますので、デメリットについても確認しておきましょう。
【AI-OCRのデメリット】
- 文字の認識率は100%ではない
- 必ずしも完全に自動化できるわけではない
- 導入コストがかかる
AI-OCRは完璧なシステムではなく、どこかで認識を誤る可能性があることを忘れずに活用することが大切です。また、コスト面の検討も欠かせません。詳細は後述していますので、デメリットによる失敗を防ぎ、業務の効率化を図るために役立ててみてください。
文字の認識率は100%ではない
AI-OCRは、AIの学習能力によって複雑な文字でも徐々に学んで読み取れるようになりますが、認識率は100%ではありません。システムによって差はありますが、平均的な認識率は約96%であり、現時点で100%にすることは難しいといわれています。そのため、全ての業務をAI-OCRに任せきりにしていると、細かなミスを取りこぼす可能性が高いです。AIも完全なものではないという認識を持ったうえで業務フローに組み込む必要があります。
必ずしも完全に自動化できるわけではない
前述の通り、AI-OCRの認識率は100%ではありませんので、人の目によるダブルチェックなど、アフターフォローが必要です。また、文字データによってはAIによる判断が難しく、人が作業を行わなければならないケースもあります。例えば「個人情報など、リークしてはならない情報を黒塗りにする」「文字が見えやすくなるようにノイズ除去加工を行う」「読めない文字がないか確認する」といった作業は人の手が求められるでしょう。そのため、AI-OCRは人による作業と併用するシステムであることを前提に導入する必要があります。
導入コストがかかる
AI-OCRを導入する際には、初期費用やシステムを運用するためのランニングコストがかかります。初期費用相場は10〜20万円ほどで、クラウドサービスを利用した場合は1〜5万円ほどです。ただしシステムによって料金は変動するため、事前に確認する必要があります。たとえシステムを導入しても、業務上で期待できるメリットとコストが見合わなければ意味がありません。費用対効果をよく考えたうえで導入を検討することが重要です。
AI-OCR導入を進めるときのポイント
AI-OCRで失敗しないためには、あらかじめ導入のポイントを押さえておくと安心です。主なポイントを確認しましょう。
【AI-OCR導入を進める時のポイント】
- AI-OCRの種類を理解する
- RPAとの連携も検討する
- 導入後の運用について社員への教育も必要
業務内容に適したAI-OCRを導入し、社員へのフォロー体制もきちんと構築しておけば、新しいシステムにもすぐ対応できるようになります。逆に、全く準備がないまま導入すると現場が混乱し、AI-OCRをうまく使えない可能性もあるでしょう。より効果的に導入できるように、何を意識すべきかチェックしてみてください。
AI-OCRの種類を理解する
自社のニーズにあった種類の製品を選ぶことで、さらなる業務の効率化に繋げられます。主な種類のメリット・デメリットと向いているケースは以下の通りです。
AI-OCRの種類 | メリット | デメリット | 向いてるケース |
汎用×定型フォーマット型 | ・認識精度が高い | ・フォーマットの定義を設定するのに時間がかかる ・設定されたフォーマットしか読み取れない ・フォーマットの種類が増えれば、その度に設定作業が必要 |
・デジタル化する帳票のフォーマットが決まっている ・同じフォーマットを大量にデジタル化する必要がある |
汎用×非典型フォーマット型 | ・フォーマットを定義する必要がない ・バラバラのフォーマットでも柔軟に対応できる |
・あらかじめAIにフォーマットを学習させておかなければならない ・学習していないフォーマットは認識精度が落ちたり、読み取れなかったりする |
・デジタル化する帳票の種類が多い ・デジタル化するフォーマットがバラバラの状態になっている |
業務特化×非典型フォーマット型 | ・利用者がAIに学習させる手間がかからない ・帳票の読み取りだけでなくデータの意味付けも可能 |
・決まった業務以外の帳票に対応できない | ・決まった業務だけでAI-OCRを使う |
RPAとの連携も検討する
RPAとは、パソコンで行う事務作業を自動化するツールのことです。AI-OCRとRPAを連携することによって文字の認識からシステムへの自動登録まで一貫して行える業務フローが構築され、作業効率の向上に繋がります。ただし、すでに導入しているRPAと連携できないAI-OCRだと、作業効率の向上には繋げられません。システムとの連携を確認するのに加え、スマホやタブレットなど業務に使用するアプリと連携できるかもチェックしてください。
導入後の運用について社員への教育も必要
AI-OCRをスムーズに導入するためには、社員への研修やルール設定が必要になります。長年引き継がれてきた作業内容に慣れている社員の場合、新しいシステムの導入に拒否反応を示す可能性があるため、操作説明や前処理のフォローなどの丁寧な対応が求められます。また、デジタルに親しみのない社員は、複雑なシステムだとすぐに使えない可能性があります。そのため、誰でも直感的に操作できるシステムであることも大切です。導入前にしっかりと操作性を確認し、使いやすさを重視するようにしてください。
まとめ
AI-OCRは、AIの学習能力によって認識精度が上がり、業務効率化に役立つシステムです。今まで手作業で行ってきたデータ入力を自動化することで社員の負担が減り、ミスの軽減にも繋げられます。ただし、AIも完璧ではないため、人の目による作業や確認も必要になることを忘れないようにしてください。また、導入時には業務内容に見合った種類を選び、社員への研修やルール設定を行うことも大切です。ポイントを押さえたうえで、AI-OCRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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