首都圏近郊の駅前(千葉県船橋市)
現在、多くのメガバンクは支店の小型化を進めている。スーパーやデパートなどに出店する店舗が多くなり、今後、駅前の一等地に銀行がある時代は終わるかもしれない。今後、人口店舗が減っていく実情についてわかりやすく説明したい。
副支店長の給料で支店長に登用
銀行の店舗は、一昔前に比べてかなり減っている。主要駅にメガバンクがないことも多く、不便に思っている方も多いのではないだろうか。
なぜこれだけたくさんの支店が減っているかというと、インターネットバンキングの発展が凄まじいからだ。今やインターネットバンキングでできない手続きはほとんどない。今後さらにインターネットバンキングの発展は続き、さらに支店が少なくなるだろう。
しかし、メガバンクを中心に全く支店がなくなることはない。なぜなら、インターネットの利用ができない人たちが一定数いるからだ。
銀行は民間企業ではあるが、公共性が高い事業であるため、支店をすべて排除するのは不可能だろう。そこで、今行っているのが「支店の小型化」だ。
一般的に、支店には20人から30人の行員が必要となる。しかし、デパートなどに入る小型店舗については5、6人で運営している。当然ながら、人件費を大きく抑えられることができる。
管理職については支店長のみにして、しかも実情は副支店長の給料で支店長にするため、こちらも人件費の抑制につながる。管理職を削減する代わりに営業に割く人数を増やすことで筋肉質な体制にしているのだ。
もちろん、管理職も休みをとる必要がある。管理職が休みをとる際は、本部から応援が入る体制になっている。今後このような支店は爆発的に増えるはずだ。
真の富裕層以外、担当者はつかない可能性が高い
しかし、いくら支店の小型化が進んでも大きく収益を稼ぐことにはならない。経費削減にはなるが、攻めの部分も必要だ。
結論としては、各地域を統括したエリアといった部署を作り、富裕層の担当者を集結させる施策をとるだろう。
富裕層を開拓することによって銀行の収益に貢献をする。しかも富裕層を取りまとめる管理職は20人から30人の顧客に対して2人程度で十分だ。このような体制にして銀行はリテールで大きく収益を狙ってくるだろう。
今後は、お金をあまり持っていない人たちについては、ネットで投資信託などの取引をすることになるだろう。
一方、富裕層と呼ばれる人については、銀行と信託銀行と証券会社が1つの会社になる可能性があるため、手厚いフォローを受けられるはずだ。
一般層をいわば切り捨てることにより、より収益を稼げる富裕層を重点的に攻めることができるため、富裕層にとっては大きなメリットになるだろう。
銀行や対面の証券会社などで取引するのはマイナスと思われている人もいるかもしれないが、それはあくまで一般層だけだ。富裕層については手厚いサービスを受けられるため、メリットが大きい。
まとめ
今回はメガバンクの支店の小型化について説明した。今後は、一般層については、スモール店舗で対応し、富裕層については優秀な担当者をつける体制になるだろう。メガバンクの実情についてご理解いただければ幸いだ。
文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)
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