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訪日客向けにホテル予約など旅行関連サービスを提供するWAmazing。無料SIMカードの提供が好評で事業が軌道に乗りかけた矢先に災難が襲う。1人も解雇せずに新型コロナウイルス禍を乗り越えた起業家の創意工夫とは。
「創業後の約3年間で基本的なサービスを立ち上げ、いよいよこれからというときに新型コロナウイルス禍に見舞われた」。WAmazing(ワメイジング)社長の加藤史子は苦難の日々を振り返る。
同社は訪日外国人向けのオンライン専用旅行会社(OTA)だ。専用のスマートフォンアプリとWebサイトからホテル予約や交通チケット販売、免税EC(電子商取引)、保険契約などができる。アジアを中心に約50万人が会員登録している。
サービスの特徴は、来日した会員にはスマホに差し込むSIMカードを無料で貸し出していることだ。空港にSIMカードの受け取り機を設置しており、会員はスマホアプリで表示したQRコードをかざしてSIMカードを借りる。このサービスが好評で会員を増やすことに成功した。
存亡の危機、訪日客がゼロに
軌道に乗りかけた頃、コロナ禍が襲った。訪日外国人がほぼゼロの期間が長く続き、OTAの事業が成り立たなくなった。
加藤は金策に飛び回った。補助金の申請や資金調達に奔走したのだ。そして「民需がなくなったのならば官需だ」と頭を切り替えた。地方自治体や各地域の観光協会からの調査事業などを請け負った。創業直前にリクルートの調査・研究部門で首席研究員を務めていた経験が生きた。複数の事業を受託し、年間で1億円を売り上げたという。オフィスの退去などコスト削減も実施した。
「ギリギリのところで倒産を回避できた」と加藤は言う。当時、従業員は約100人いたが、解雇することなく危機を乗り切った。
日本が海外からの個人旅行受け入れを再開した2022年10月、OTA事業を再スタートさせた。WAmazing会員に特典を付与することで大手小売業に送客するなど、訪日外国人向けマーケティングの支援事業も始めている。自治体や観光協会向けの調査事業も継続し、今では年間5億円を売り上げるまでになった。
今後のドル箱事業になると踏むのが、事業の再スタートを機に始めた、ロッカーで受け取れる免税ECだ。コロナ禍のさなかに次の成長の芽として企画し開発を続けてきた。
会員の訪日外国人がWAmazingのECサイトで商品を購入すると、出国時に空港に設置したロッカーで商品を免税品として受け取れる。免税品の購入にはパスポートによる本人確認などの作業が必要なため、ロッカーにパスポート読み取りと顔認証の機能を付けた。
本業のOTA事業も拡大を狙う。現状では赤字だが、2024年秋に黒字化を目指す。「OTA事業が黒字化すれば、全ての事業がうまく回り始める」と加藤は自信を示す。
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