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Sunday, October 29, 2023

東京海上HD北澤CHRO「会社と従業員の目線、合わせるために対話する」 - 日経ビジネスオンライン

人材を企業の資産と捉え、その価値の最大化に向けて投資する「人的資本経営」の重要性が叫ばれている。中でも東京海上ホールディングスは、保険という目に見えない商品を扱うだけに、商品が持つ機能や価値を必要としている顧客に届けるべく、人への投資を惜しんでこなかった。個々人が働きがいを持って自身の能力を発揮するには、どのような仕組みが必要なのか。東京海上ホールディングス専務執行役員 グループ人事総括(CHRO)の 北澤健一氏に聞いた。

北澤 健一[きたざわ・けんいち]氏

北澤 健一[きたざわ・けんいち]氏

1988年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。本店での商品開発、官公庁関係の営業などを経験し、2017年人事企画部長に。20年東京海上日動火災保険株式会社常務取締役。23年より現職。CHROとしてグループ全体の人事戦略を指揮する。(写真=北山 宏一)

次世代人材の育成方針について、改めて教えてください。

東京海上ホールディングス専務執行役員 グループ人事総括(CHRO)北澤健一氏(以下、北澤氏):保険ビジネスは、(契約書とサインできるものがあれば成立する)「紙と鉛筆の商売」と言われていましたが、ペーパーレスで両方がなくなろうとしています。残ったのはまさに人だけで、「ピープルズビジネス」とも言われます。ですから、昨今の人的資本経営という言葉が出る前から、人をいかに育てて、人の活躍によってお客様の支持を得ていくかが大命題でした。かなり前から、「ヒト」に先行投資をしてきたつもりです。

ピープルズビジネスとは例えばどういう場面に現れるのでしょうか。

北澤氏:要は、人が生み出す価値を提供するということです。例えばお客様のニーズを丁寧にお聞きして、最適な商品をご案内すること。かなりコンサルティングに近い部分もあります。人ならではの感性が生きる部分です。そして実際にお客様が事故に遭われたときに、人が寄り添って解決していくこともかなり重要です。

 お客様自身がニーズを意識しておられる場合はともかく、そうでない場合もあります。そこで我々がリスクのプロとして、お客様との会話の中で、お客様にとって真に必要なことを引き出していくのですが、これは人の力によります。「デジタルと人の力のベストミックス」と言っていますが、やはり人の力は欠くことができません。

 例えば自動車保険で、事故が起きると、お客様は相手と早く合意して解決したいわけです。ですが、相手のお車が壊れていたり、おけがをされていたりすると、やはり人として真摯に、どんな手当てを被害に対してできるのかを丁寧に考えていかないといけません。そこは人にしかできないと思います。

そうした人の力、対応力を、研修などで訓練・育成できるものでしょうか。

北澤氏:基本的には仕事ですから、論理的、分析的思考能力というのは必要ですが、その前に共感力や、共感力をもとに思いを伝える力、これが非常に重要だと思います。

 事故発生時に「こういう初動をしましょう」というマニュアル的なものはありますが、感じ取る力・共感力というのは、OJT(職場内訓練)や難事案を実際に解決して初めて磨かれるもので、やはり一定の経験は不可欠です。あとは当たり前の話ですが、感性を豊かにして、世の中の変化にキャッチアップするよう普段から自己研鑽を続けていくことでしょうか。

今後、中長期の時間軸で求められる世代別の人材像はありますか。

北澤氏:(2023年に発行した)ヒューマン・キャピタル・リポートでは、大切にしていることや求める人材像を改めて明確にしました。「ビジネス機会の探求」「専門性」など7項目のコンピテンシー(成果を上げるための行動特性)を定めており、こうした能力を具備している人間を育てていきたい。別の言い方をすれば、経営人材、グローバルに活躍できる人材、とがった専門性を持った人材、この3つです。経営人材像というのは経営者かどうかではなく、経営目線で仕事ができる人のことです。

 特に若い世代については、今は本当にVUCAの時代と言われるように、これまでの延長線上では厳しい時代なので、変革とか挑戦にエネルギーを費やしてほしい。失敗を恐れず、まずトライしてみる。そこから修正をして、またトライしていく。ということを、特に若い社員にお願いしたい。

 中堅層は、マネジメント層をイメージしていますので、当社が維持したい社風つまり自由闊達とか、社会課題の解決に貢献することを引き継いで人材育成をやっていってほしいです。

 シニア層については、エイジフリーを推進しています。一定年齢で一律の役職定年とする運用はやめましたし、年次管理もやめました。シニアの方で力と意欲があれば、60歳を過ぎて退職したとしても、再雇用で同じ処遇と権限を渡してまた頑張ってもらう、という世界をつくりたいと思っています。

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