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Wednesday, October 18, 2023

新規顧客の開拓は永遠の課題、アポ無し訪問や大量チラシから ... - 日経 xTECH Active

 新規顧客の開拓は企業の永遠の課題だろう。我々もクライアントから「現状、顧客から受けた商品への問い合わせを起点に営業を行っているが、売り上げ拡大のために新たな顧客へアプローチしたい」「営業・マーケティングを競合他社と差異化して顧客層の裾野を広げたい」といった相談をよくいただく。

 こうした場合、少なくない企業が、現場の経験や勘だけで絞り込んだ見込み顧客に対してアポイント無しで訪問する飛び込み営業をしたり、予算が許す限り大量のチラシを配布するマスマーケティングに頼ったりするが、大抵はコスト効率が悪い。「誰に売るのか・誰が買うのか」が突き詰められていないためである。

 しかし今は、商品・サービスを知ってもらえれば契約する可能性の高い「潜在顧客」をデータ活用によって予測できるようになった。潜在顧客に絞ってアプローチすることで営業活動・マーケティングの生産性が改善されている例も見ている。今回はそうしたデータ活用による「攻め」の営業・マーケティングについて説明したい。

他社のデータを活用して新規の潜在顧客を予測

 本稿では、新規の「潜在顧客」を予測することに重点を置いて解説する。潜在顧客は自社商品・サービスについては未契約であるため、自社のデータだけでは十分な予測ができない。自社データの足りない部分を他社のデータから補ってデータ活用を行う。

 他社データを活用する際は、その取得に加えて、後述する「他社データと自社データのひもづけ処理」が発生する。そのため、他社データを活用する前に、自社データを整理して十分に活用できていることが前提になる。ここでは詳しく触れないが、営業・マーケティング分野における自社データの活用例としては、既存顧客の離反防止、リピート購入やクロスセルの促進などがある。

 データ活用による潜在顧客の予測には、「個人特定起点」と「個人不特定起点」という2つのアプローチがある(図1)。それぞれについて説明しよう。

図1 データ活用による潜在顧客の予測アプローチ

図1 データ活用による潜在顧客の予測アプローチ

(出所:NTTデータ経営研究所)

[画像のクリックで拡大表示]

(1)個人特定起点

 顧客情報や会員情報のように個人が特定できるデータをもとに、潜在顧客を一人ひとり絞り込む。ひもづけに利用する他社データの出所に基づいて2つに大別できる。

a. 自社グループ企業のデータ活用

 グループ会社の顧客データと自社の顧客データをひもづけて、自社単独ではリーチ(接触)できていない顧客を予測する。グループ企業が潜在顧客となり得るデータを持つ場合に限って採用できるが、コストなどのハードルが比較的低い。

 例えば、グループ会社のサービスAの契約者に、自社のサービスBを契約していない顧客がいれば、自社データだけではリーチできないサービスBの潜在顧客をサービスAの契約者データから抽出することで予測ができる。

 このような処理は、グループ会社のデータと自社のデータが共通して保持する情報(電話番号、メールアドレスなど)をもとに、双方の顧客データを整理・統合して行う。例えば、同じメールアドレスを持つ同姓同名の顧客は同一人物として考える。これがひもづけである。それからサービスAとサービスBの両方を契約している顧客をサービスAのデータから取り除けば、サービスBの未契約者が分かる。

b. グループ外企業のデータ活用

 グループ外企業がマーケティング支援ビジネスのために提供する会員情報基盤を活用して、自社サービスの潜在顧客を予測する。多くの場合、データを利用するコストがかかる。

 例えば、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのCCCマーケティングとトレジャーデータが共同で提供する顧客データ分析サービス「CDP for LIFESTYLE Insights」では、Tポイントカードの会員情報保持者(T会員)データと、Treasure Data CDP利用企業の自社顧客データを連携して、自社顧客の生活購買行動や志向性などを分析・統計化したリポートや、T会員の行動履歴データなどから抽出した属性情報を個人にひもづけて得ることができる(※1)。

※1 出典:CCCマーケティングとトレジャーデータ,「生活者のライフスタイルを基点とした情報プラットフォーム構築に向けCDP領域で提携」,CCCMKホールディングスのプレスリリース,https://ift.tt/8Q1Jqg3

 志向性は、「美容食品好き」「有名ブランド好き」「タワマン派」などの370項目以上にわたる。例えば、美容食品企業がCDP for LIFESTYLE Insightsを利用する場合、T会員のうち「美容食品好き」の志向性を持つ集団を指定して、Web広告やメール広告を配信することで潜在顧客にリーチできる。

(2)個人不特定起点

 個人を特定せずに、生活者の居住地域や日常の行動をもとに潜在顧客を予測する。よく使うアプローチは以下の2つである。

a. 生活者の居住地域に基づく絞り込み

 生活者の居住地域のうち、商品・サービスの購入や契約に至る可能性が高い地域を絞り込むアプローチである。

 例えば米国の不動産仲介会社は物件取得の際、米Smartzipが提供するビッグデータツール「Smartzip Analytics」を活用している。Smartzip Analyticsでは、統計データなどから、どのような不動産オーナーが、どのような状況・条件で物件を売るか予測。「今後売りに出されるだろう物件の郵便番号データ」を不動産仲介会社に販売する。

 予測に当たり、Smartzipでは、人口や治安といった地域データに加え、不動産オーナーの生活変化や個人の貯金額、所有不動産や子供の有無、アレルギーの有無といった住民データ、さらにはSNSデータや物件のマーケットデータなどを活用しているという。

 ただ、郵便番号データだけでは不動産仲介会社が、物件を売ってくれる潜在顧客にリーチすることはできないため、実際には不動産仲介会社が当該地域で別途、個人情報を取得していると考えられる。例えば、取得した郵便番号データから、地域の不動産オーナーに向けて売却不動産を求めるWeb広告を配信。不動産オーナーが売却金額の見積もりや関連情報の提供を希望してきたとき、メールアドレスなどの登録を促すことは可能だろう。

b. 生活者の日常の行動履歴に基づく絞り込み

 生活者が日常的に何を買っているか、どこへ行ったかなどの行動履歴データをもとに、自社商品・サービスを購入する可能性が高い潜在顧客を絞り込んで予測するアプローチである。

 ブランドバッグのシェアリングサービス「Laxus(ラクサス)」を提供するラクサス・テクノロジーズでは、バッグの借り手の行動履歴データを分析して提供している。それによると、百貨店よりもショッピングモールへ頻繁に行く人はルイ・ヴィトンのバッグを、外出先の行動範囲が広い人はグッチのバッグをそれぞれ借りる傾向がある。ルイ・ヴィトンが潜在顧客にアプローチしたい場合、百貨店よりも、ショッピングモールと提携するほうが効率はよいと考えられる。

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