取り組みに集中できる活動拠点を築く
新しい取り組みの立ち上げ期は、ありとあらゆる情報が錯そうします。大きなビジョンを掲げて走り出したものの、周りから見ると何をしている集団なのかがよく分からなければ、目障りなものに映ってしまうかもしれません。「もっと分かりやすくビジネスモデルを示してくれ」「もっと収益性の高い取り組みにした方が良いのではないか」「そんなアイデアは、昔誰かがやって失敗していた」など、さまざまな意見が投げ込まれる可能性もあります。挙げ句の果てには、周りからは成果が出ているように見えず、「手が空いているのであれば、こっちの仕事をやってくれ」といったまったく異なる業務に対する要請が入ったりもします。
新しい取り組みにコミットすることを決めたメンバーが、本当にコミットできるかどうかを左右するのは、専任にするのか、既存業務との兼任にするのかという点が大きいと考えています。既存業務側から「完全に抜けられたら、困る。ちょっとだけでも残ってくれ」と言われ、承諾したとします。すると、兼務で走り出したメンバーは、既存業務と新しい取り組みの間で揺れ動くことになります。既存業務は求められている業務であり、しっかりこなすことで評価されます。
一方で新しい取り組みは、極端に言うと誰からも特段求められていない業務に対して勝手に動くことになります。新しい取り組み側で成果が出ない場合、どうしても既存業務の進捗の方が見えやすいため、そちらに集中することで安心感が得られるようになります。そうしてどんどん既存業務に引っぱられていき、当初の勢いやコミットメントもどんどん薄れ、気付いたときには、本当に新しい取り組み側で成果が出ず、「既存業務が忙しくて…」と漏らしてしまいます。
「コミットメントが弱かったから上手くいかなかった」という振り返りをするのは簡単です。しかし、新しい取り組みを暗中模索の中でやり続け、ネガティブケイパビリティを発揮しながら、自分や自分の周りの仲間を支えることは大変なことです。
新しい取り組みにコミットするメンバーが選定され、会社もそれを後押ししようとするのであれば、一定程度周りの雑音を遮り、新しい取り組みに集中できる環境を整えることも必要です。既存組織から敢えて分担させる「構造的空隙」を作り、一定の孤独状態の中で、創造力を醸成させていくことが大切です。
からの記事と詳細 ( 第2回 ソーシャルイノベーションの創出はアイデア磨きが全てではない - PwC )
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