自動運転システムの開発で最も重要視されるのは安全性である。そのためには、ODD(運行設計領域)内の様々な試験パターンで走行し、システムが安全に動作することを確認する必要がある。しかし、実際の走行中にどのような不具合が生じるかを、事前に開発エンジニアが予測して試験パターンを作成するのは難しい。特に事前の予測が難しいのが、どのような走行シーンで、センサーが物体を誤認識するのか、認識できないのか、である。
そこで、自動運転システムの開発では、各種のセンサーを搭載した実験車両を走行させてデータを収集し、どのような走行シーンで不具合が生じるかを検証している。
dSPACEが用意するデータドリブン開発(DDD)のツールチェーンとデータパイプライン(データの流れ)。データを収集(1)して、取り出し(2)、タグ付け(3)、選別(4)のプロセスを経て、システムの評価に活用(5)するという流れになる。
1日に収集するデータが
100Tバイトを超えることも
しかしここで問題になるのが、実際の走行で収集するデータの膨大さである。特に大きいのがカメラから収集する画像データだ。
例えばdSPACEの実験車両では、3K(542万画素)カメラを10台搭載したものもあるが、こうした車両の場合、1日で収集するデータ量は62Tバイトにもなる。「もっとも多くのデータを収集するユーザー企業の場合、1日に収集するデータ量は100Tバイトを超えます」(吉松氏)。
これだけ膨大なデータになると、記録したデータを読み出すだけでも膨大な時間がかかり、保存の方法も難題だ。さらに厄介なのが、この膨大なデータの中から、必要なデータだけを抜き出すこと。自動運転用のデータでは「ほぼ9割が不要なデータ」(吉松氏)なだけに、必要なデータだけを効率的に取り出す手法も必要になる。
そこで、dSPACEでは、データ収集や、必要なデータ抽出のための多様なソリューションを提供している。まずデータ収集では、高速で大容量のデータを収集できるデータロガーを用意。容量32Tバイトのデータを、最大25Gbpsという高速で収録できるSSDを最大で2台内蔵し、64Tバイトのデータを50Gbpsまで収集することができる。またカメラやLiDAR、ミリ波レーダー、GNSS(衛星測位システム)からのデータを同期させるため、それぞれのデータにタイムスタンプを記録することもできる。
次に課題になるのは、これだけの量のデータをどのように取り出し、どこに保存するかである。選択肢の一つはクラウドだが、利便性は高いものの、クラウドにデータを送るための回線、クラウドコストが膨大にかかるのがネックになる。そこでもう一つの選択肢は、ひとまずオンプレミスの環境に保存し、データを選別・圧縮した上でクラウドに保存することである。先に触れたように、データの8〜9割は不要なデータであるため、データを1〜2割に圧縮して保存することが可能になる。
からの記事と詳細 ( 膨大なセンサーデータから重要データだけを抽出 自動運転の開発に ... - 日経BP )
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