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Saturday, December 9, 2023

会社経営を引退 82歳が残りの人生でかなえたいこと | 高齢化時代の相続税対策 - 毎日新聞

 中小メーカーの経営者Hさん(82)は、高校卒業とともに、父が経営する会社に入り、以来、がむしゃらに働いてきた。75歳で社長を長男に譲り、長男を支えてきたが、その役目も終えて完全引退した。残り少ない人生をどう過ごすか――。思いついたのは、若いころからの夢だったキャンピングカーを買うことだった。

父の急死「29歳で社長に」

 10代で父の会社に入ったHさんは、日々、仕事を覚え、経験を積むことに必死だった。そして10年が過ぎたころ、突然、父から社長を引き継ぐことになった。父が53歳という若さで悪性腫瘍のため亡くなったからだ。Hさんは29歳だった。

 幸い、高度成長期で会社の業績は良かったが、Hさんには、経営者として会社を引っ張っていく準備も心構えもできていなかった。社内外の人たちに助けられ、なんとか日々を乗り切っていった。

 最も苦労したのは、社内の人間関係だ。

 亡父には、忠実な社員もいれば、対立する勢力もあった。若いHさんが社長になると、その対立関係があらわになり、調整に苦労することになった。

 だが、この経験はHさんの糧となった。社内はもちろん、取引先や金融機関などとの人間関係を重視するようになったからだ。さらに、業界の活動や会合にも積極的に関わって人脈を作り、知識や経験を深めた。

 バブル崩壊やリーマン・ショックなどの経済危機をなんとか乗り越えることができたのも、こうした蓄積があったからだと、Hさんは思っている。

長男に託す後継者のバトンを

 Hさんの長男も大学卒業後、Hさんの会社に入った。自分のような苦労はさせまいと、Hさんは、人一倍、自分の健康管理に気を配りながら、長男が将来、後継者として…

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