「ハイパフォーマンスな若手社員ほど早々に会社を辞めてしまう」。こんな嘆きの声を聞くことがあります。背景には、Z世代の価値観の二層化と、「このままでは他の会社で通用しなくなるのでは」というキャリアへの不安があるとリクルートワークス研究所の古屋星斗氏は分析します。古屋氏の著書『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』(日本経済新聞出版)から抜粋します。
データから見えるZ世代の「二層化」
若手を平均値で捉えきることは難しいなかで、企業・職場観に与える影響が大きい要素として1つの視点が発見された。それが「入社前の社会的経験量」である。
図表1は入社前の社会的経験について尋ねたもので、複数回答で参加した・実施したことがある項目を選択してもらった。質問項目は、高校や大学在学中に行うことができる学校外の社会人や企業等とつながる活動として設計している。
図表1の項目について、現在の大手企業の若手社員(ここでは2019-2021年卒)における実施率は以下の通りであった(図表2)。
最も多かったのは、「複数の企業・職場の見学」であり46.2%、最も少なかったのは「起業や法人設立の経験」で2.9%であったが、「ゼミ・研究室で行った学外の社会人と連携して行う活動」が16.0%となっているなど、様々な経験が可能になっていることが分かる。
こういった活動について、各年代別に経験量を測定している(図表3)。こちらからは、年代を追うごとに、社会的活動経験量が増加しているという傾向を確認できる。「4回以上」であった回答者は、1999-2004年卒の5.4%から直近の若手で11.5%へと倍増しており、同様に2〜3回と複数回経験していた者も32.5%へと増加し、2回以上の複数回経験している者は合わせて44.0%に上っている。
他方で、経験が「全くない」者は現在の若手社員では27.5%と決して少なくはないが、その割合は若手になるにつれて低下傾向だ。
つまり、入社前の社会的経験をしている若手が顕在化しており、「豊かに経験した層」と「あまり経験していない層」の二層化が起こっている。
社会的経験が多い若手ほど評価が高い
学生時代に社会的経験をすること自体の評価については様々な議論があろうが、ここではその効果を検証することはメインの目的としていない。伝えたいのは、「入社前の社会的経験の多寡から、若手社員の企業・職場観の多様性が見えてくる」という点である。
例えば、初職への評価点については入社前の社会的経験量が多い若手ほど高い傾向がある。
「経験4回以上」のグループでは6.93点、「2〜3回」では6.51点、「1回」では6.16点、「全くない」グループでは5.77点と、経験が多いほど評価点が高い傾向がある。
また、自分のキャリアの満足感やパフォーマンス感をスコア化した2尺度(キャリア満足感スコア2、いきいき働くスコア3)についても、経験が多いグループがより高い傾向となっていた。
両スコアについて多少の差異はあるが、経験が4回以上のグループが最も高く、全くないグループで最も低い。もちろんこれは自己評価ではあるが、経験の多寡によって職場での仕事認識がかなり異なっているのは間違いない。
からの記事と詳細 ( 優秀な若手ほど辞めるのはなぜ? 会社を見切るZ世代の本音 - 日経ビジネスオンライン )
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