通勤・通学途中の電車内で迷惑な行為をする乗客に腹が立った経験は誰もがあるだろう。しかし、都内の一般企業に勤める東也さん(仮名・40歳)は、トラブルが起きた際に「見て見ぬふりの乗客と駅員に腹が立った」と語る。
東也さんは取引先から職場に戻るために、地下鉄に乗っていたという。 「あれは平日の夕方で、1人の女子高生が乗ってきたんです。彼女は乗って来た時から足元がふらついていて、大丈夫かな? と心配になりました」 あいにく、どの席も埋まっていたという。彼女は優先席の前で、肩で息をしながら、つり革にすがるように両手で捕まっていたとのこと。 「車内の誰もがスマホを見ていたり、目を閉じていたりして、彼女のことは誰も気づいていないようでした。もし僕が座っていたら席を譲ってあげたかったんですが、あいにく僕も立っていたんです」 数分後、恐れていたことが起きたそうだ。 「彼女が膝から崩れ落ちたんです。白目をむいて、だらりと開いた口からは、泡というか涎のようなものが出ていました。でも、もっと驚いたのは、周りの乗客の対応でした」
「車内にいた全員が見て見ぬふりをしていました。誰も彼女に声をかけないんです。そのままスマホを見続けたり、寝たふりをしている人ばかりでした」 東也さんは居ても立っても居られず、彼女に近付いて行ったらしい。「大丈夫ですか?」と声をかけるも返事はない。誰か席を譲ってくれる人を探そうと辺りを見渡すと、優先席に座っていた、若い男女のカップルが目に入ったという。 「カップルは日本人の女性と、欧米系の男性でした。女性が男性にお菓子を食べさせて、そのままキスをしていました。二人だけの世界で、他の人間は眼中にないんでしょうね」 カップルの横に座る中年男性は、不思議そうに東也さんのことを見つめていたそうだ。 「その男性に『席、譲ってくれませんか?』と尋ねると、嫌そうではありましたが、立ち上がってくれました。ひとまず彼女を座らせて、次の駅で降ろすことにしました」 東也さんは駅に到着すると、女子高生をかかえて下車。 「駅のホームに駅員がいたので、ひとまず胸をなでおろしました。でも、その駅員には、もっと驚かされることになったんです」
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