もし中学生に「株式会社の資本と負債」について教えるとしたら、あなたはどのように説明しますか? 明快に伝えるには、教える側の正しい理解が不可欠です。軽妙な経済コラムで多数のファンを持つ久留米大学教授の塚崎公義先生が、経済初心者のための超入門講座を開講! 原則として隔週土曜日の掲載です。第2回目は株式会社における資本と負債について解説します。
株式会社を作る際、出し合ったお金を「資本金」という
前回の記事 『子どもに「株式会社ってなに?」と聞かれたときの正しい答え方』 では、株式会社の概要をやさしく説明してみました。本稿ではそこから一歩踏み出し、「会社の資本とは?」という質問について、中学生にもわかるように答えてみたいと思います。
筆者が30万円、友人が20万円出して「塚崎パン」という株式会社を作るとします。会社には50万円の資金が入ります。これが会社の「資本金」です。
会社は、資本金を出してくれた人に株券を渡します。1万円ごとに1枚とすると、筆者は30枚、友人は20枚もらうことになります。株券の持ち主を「株主」というのですが、株主について重要な点が3つあります。
(1)会社が儲かったら、「一株あたり何円」という計算をして、利益を山分けします。山分けのことを「配当」と呼びます。
(2)会社が解散するときには、持っている物を全部売って借金を全部返し、残りを「一株あたり何円」という計算をして、株主で山分けします。
(3)社長の選挙では、1株あたり1票の投票権があります。
銀行からの借金は、返済期限も金利も決まっているが…
株式会社が事業をする資金は、株主から集めた資本金だけではありません。銀行から借りた資金も使います。銀行からの借金は「負債」と呼びます。そして、銀行からお金を借りたら、借用証書を渡しますが、そこにも重要なことが3つ書いてあります。
(1)50万円借りました。
(2)1年経ったら返します。
(3)金利は2%払います。
といった具合です。
株主と銀行には、非常に大きな違いがあります。銀行は、会社が儲かっても損しても、貸した金額と金利を返してもらうのですが、株主は「会社が儲かったら」「解散するときに財産が高く売れたら」ということで、何円戻ってくるか決まっていません。
社長を選ぶ選挙では株主は投票できますが、銀行は投票できません。その理由が上記にあるのです。「株主は、社長が金儲けの上手い人か否かに大変興味があるが、銀行はそうではない」ということです。
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