山陰や九州の家庭でよく使われる |
Q.最近よく見かけるようになった「あごだし」。他のだしとの違いや特色を知って、使ってみたいです。
A.家庭で使う代表的なだしといえば、かつお節や昆布、煮干しですが、あごだしも近年注目されていますよね。原料は乾燥させたトビウオ。定置網でとったトビウオを自社であごだしに加工している塩津定置(島根県出雲市)の藤井美代子さんが「どんな料理にも合う使いやすいだしですよ」と教えてくれました。
トビウオは山陰から九州にかけて「あご」と呼ばれ、刺し身やすり身団子にして食べるなど、親しまれている食材。あごだしも家庭でよく使われているといいます。
九州は焼きあごが主流ですが、同社はゆでて乾燥させるタイプ。取れたてのトビウオから頭と尾、内臓、骨を取り除いた身を大きな窯で約15分ゆでます。身を開き、専用の乾燥機に30時間ほど入れると身がカリカリになります。身を砕いた割りあごだしと、粉末の2種類があります。
割りあごだしは、1リットルの水に30グラムほど入れ1〜2時間浸した後、グラグラッとするくらいの火加減で煮出します。こうして取っただしは「見た目は澄んだ黄金色。臭みがなくて、すっきりしています」。
「あごだしの一番の特色は、三大うま味成分の二つ、イノシン酸とグルタミン酸が入っていること。この二つを含む魚はほとんどないといわれます」と藤井さん。煮物やみそ汁、鍋料理などの味を決めるのに、粉末だしは適役。隠し味として八宝菜やチャーハンに入れたり、お好み焼きやギョーザに混ぜ込んだりすると風味が増します。
藤井さんのお薦めは、野菜の煮物。カボチャやナス、山菜などを煮るのによく使うそう。「くせがないので、野菜のおいしさがさらに一段上がり、深みのある味になります」。藤井さんは「上品で優しいあごだしの魅力を多くの人に知ってほしい」と話しています。
(小林由比)
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March 28, 2020 at 03:03AM
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