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Thursday, January 28, 2021

魚の味は鮮度と熟成のバランス [大森均の釣れ釣れ草] - 大阪日日新聞 - 大阪日日新聞

このサイズなら3〜4日後が熟成が進んでうまみを感じる

 先日、釣り番組を見ていると、釣ったタイを料理店で食べるシーンが出てきた。

 「先ほどまで泳いでいたのでおいしいです! 歯ごたえがあって鮮度抜群!」と、若い女性リポーターがコメントしている。確かに「歯ごたえがあって鮮度抜群!」の下りは、間違ってはいない。しかし、コリコリしていることとおいしいことを勘違いしている。

 うま味は、熟成が適度に進むことで得られる。対馬で釣ったブリを船宿で食べた時はそれほどでもなかったのに、大阪に送ったブリを帰って食べたら、その後3日が経過しているのに絶品だったと釣友に聞いたことがある。まさに大型魚が、適度に熟成が進んだ証拠であろう。魚の味は、その鮮度と熟成のバランスでうまいと感じるに違いない。

▽放血処理

 魚は、釣った後にどう処理するか、どう管理するかが命を頂いた釣り人の矜持(きょうじ)だ。

 20年ほど前になろうか、下船後にNさんの釣った魚を指で押して弾力を確かめたO名人が辛口の一言を放った。「せっかくの魚がもったいない。グレに対する冒?(ぼうとく)やなぁ」。Nさんは釣ったグレをドンゴロスに入れてキープしたことが原因だったようだ。

 次の日、私が釣った外道のニザダイを同礁のTさんがバター焼きにして食べると言うので、十分に放血させ処理をした。偶然、Tさんも直後に同型のニザダイを釣ったが、放血の手順を省いたままで持ち帰った。帰って、Tさんが釣った魚と私が釣った魚を食べ比べて「大森さんの方が断然うまかった。身が全然違った」。

 その直後に送られてきたTさんのメールに添付された写真を見てがくぜんとした。三枚におろした同じニザダイの身が、放血処理をしたものは身が透き通りタイのようで、未処理のものはカツオの身のように透明感がなく、同じ魚とは到底信じられなかった。

 私は、〆て十分放血処理をした後、氷に海水を混ぜた潮氷(しおごおり)で急速に魚を冷やした。このひと手間が味の明暗を分けたようだ。

▽潮氷に漬け込む

 近年、魚の〆る方法として「神経〆」がユーチューブなどでも紹介されている。これは死後硬直を遅らせる効果がある。言い換えると、活(い)かった状態が長持ちする。それにもう一つ。魚肉の中にエネルギーの源となるアデノシンIIリン酸という物質があり、死後これが分解してうま味成分のイノシン酸に変わるらしい。

 魚がクーラーの中で死ぬまでバタバタと暴れまわると、このアデノシンIIリン酸が消費されイノシン酸が少量しか生成されないという。つまり、釣り上げた魚を瞬時に殺すと大量のイノシン酸が生成され「うまい!」ということになる。さらに、死後硬直もゆっくり起こり鮮度低下もゆっくりとなる。

 また、魚の血には生臭さと鮮度を低下させる促進成分がある。これもエラの根元を断ち切って放血処理をするとその効果は歴然だ。そして処理直後に潮氷に漬け込み急激に体温を下げてやることが、より長い時間の鮮度保持に大きく寄与する。とにかく、うまい魚をよりおいしく食べるため、この処理法を是非お試しあれ!

週末のイチオシ気配

■船(1)■西宮・兵庫

 半夜メバル便スタートした。25日、お試し便で同魚17〜23センチ29尾。メバルサビキ5本針、ハリス1号、針5号。出船16時半、帰港22時。要予約。▽釣人家=電話090(8794)1091

■船(2)■北港・大阪

 アジ午後ショート便堅調。27日、アジ22〜30センチ40尾。2番竿39尾など。30号ドンブリカゴ。14時集合。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

■船(3)■明石・兵庫

 ガシラ良型(18〜29センチ)がいい人で50尾。メバル(20〜28センチ)2〜10尾も交じる。別船でタチウオ75〜110センチ30尾期待できる。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(912)7211

■船(4)■栖原・和歌山

 日の岬沖でカワハギが堅調。18〜30センチがいい人で15〜25尾程度の安定した釣果が出ている。ハリス2号、胴突き3本針、オモリ30号。要予約。▽かるも丸=電話0737(62)3527

■磯■周参見・和歌山

 周参見から串本にかけて17〜18度を維持。カツオ島でグレ35〜40センチ5〜15尾。オオギシ、エビ島、カツオ島など実績場が手堅い。▽岩元渡船=電話0739(55)2227

■波止(1)■水軒一文字・和歌山

 ガシラが短竿の探り釣りで19〜23センチを10〜20尾程度期待できる。また、25〜30センチのアイナメが1〜3尾交じる。エサはシラサエビ。▽水軒波止渡船組合=電話073(445)6064

■波止(2)■垂水一文字・兵庫

 ガシラ16〜23センチ20尾程度期待できる。エサはシラサエビ。内向きの捨石周り、沖向きのテトラなどがガシラ・メバルの好ポイント。▽船長丸渡船=電話078(707)7181

■ボート■紀伊長島・三重

 カマス好調。ジグサビキ仕掛けで良型(30〜42センチ)のカマスが20〜30尾とマアジ10〜20尾。他にアオリイカ狙いで300グラム〜1.2キロ3〜6パイ。▽石倉渡船=電話05974(7)0712

■管理釣り場■芥川・大阪

 ニジマス堅調。20〜40センチのニジマスが、エサ釣りで竿頭が30〜40尾前後。エサは、イクラ、ブドウ虫。ルアー、フライ専用区でも同様の釣果。▽芥川漁業協同組合=電話0726(88)0224

 (大阪日日APG 清水智之)

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