画像はイメージです（提供：ゲッティイメージズ）「A社様のご希望では」「B社さんからは、こう伺っておりますが」──ビジネスシーンにおいて、会社名に「さん」や「様」をつける言い方は決して珍しいものではない。
日本トレンドリサーチの調査では、取引先など相手の会社を呼ぶ時に、会社名に「様」「さん」などの敬称をつける人は8割以上にのぼる。回答を見ると、「なんとなくつけないと失礼かなと思って」「つけた方がトラブルが少ないから」と、無難な方を選んでつけている人も多いようだ。
8割超が会社名に敬称を付けている「会社名＋様」は間違いだという考えがあることを知っているかという質問には、「知っている」と回答した人は43.6％、「知らない」は56.4％だった。
4割の人には「会社名＋様」は誤りだという認識があるようだが、マナーの観点からはどうなのだろうか。NPO法人 日本サービスマナー協会に所属するマナー講師で、接遇マナーに詳しい上田由佳子さんに意見を聞いた。
「会社名＋様」はマナー違反？
──会社名に「様」などの敬称をつけるのは、マナー違反なのでしょうか。
上田さん： 日本語の型としては必ずしも相応しいとはいえませんが、マナーとしては問題ないかと思います。
──「会社名＋様」には違和感を覚える人もいるようですが、どのような背景から使われるようになったのでしょうか？
上田さん： 「A社」と呼び捨てにするよりは「A社様」というように、会社そのものを擬人化してお伝えする方が丁寧な印象を受けるからでしょう。
──他に適した表現はありますか？
上田さん： 会社への敬称は、基本的には「御中」を付けます。しかし、会話表現では違和感があるうえ、「御中」という言葉は、会社の中のどなたかを指す言葉です。そうではなく、会社そのものを指すときに、「様」をつけても問題ないといえるでしょう。
領収書を書くときと同じ考え方です。会社の中の誰かに出すのではなく、会社そのものに出すので「会社名＋様」と書きます。
──ありがとうございました。
マナーの観点からは、「会社名＋様」という表現に問題はないようだ。
ほかにもビジネスシーンで他社に対し敬称を付けたい場合には、「担当者の個人名＋様」や「会社名＋御中」といった表現もあるが、「会社名＋様」は会社を擬人化して敬語を付けたい際に用いると良いのかもしれない。
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