日本は海外に比べ「無痛分娩」の割合が低い
3つの出産方法とその違いについてご紹介します(写真:Mills/PIXTA)
出産は女性の重要なライフイベントの1つであり、その方法にはさまざまなものがあります。SNSでは最近、帝王切開で産まれた女性が、その分娩経過や、無事に成長したことに対する感謝と応援の気持ちがつづられた実母からの手紙を投稿し、帝王切開の経験のある妊婦さんを中心に大きな反響を呼びました。
出産に関する知識は少しずつ広まっている印象ですが、それでもSNS等のコメントには「帝王切開では産道を通らないため我慢強い子どもにならない」「経膣分娩で産むことや、出産の痛みに耐えることこそが出産である」といった、医学的にまったく根拠のない、間違った知識を持つ方からの心ない言葉を投げかけられた経験のある方も、まだまだ多く見られます。
また、こうした偏見はなくとも、実際に帝王切開や無痛分娩がどのように行われているか明確にイメージできる方は多くないのではないでしょうか? 今回の記事では、多様な出産方法やその特徴についてご紹介できればと思います。
経膣分娩、無痛分娩、帝王切開の3種類
日本で一般的に行われている分娩方法は、経膣分娩、無痛分娩、帝王切開の3種類があります。このうち経膣分娩と無痛分娩はいわゆる「下から産む」分娩であり、後者は麻酔によって出産に伴う痛みを軽減することが可能です。ただ日本では諸外国に比べ無痛分娩の割合が低く、この理由としては「新しい技術であり、件数も多くないため不安が大きい」「麻酔を使わなくても出産自体は可能であるため、わざわざ麻酔薬を使用するリスクを取らない」といったことが挙げられます。
確かに「無痛」分娩といっても、あくまで麻酔により痛みを和らげる技術であるためまったくの無痛ではなく、また麻酔によっていきみにくくなるため、出産に時間が掛かるケースや、陣痛促進剤を追加で投与するケース、吸引分娩や鉗子分娩で出産をサポートするケースも多くみられます。
さらに麻酔薬使用によるアナフィラキシーショックや、後述する麻酔法による脊髄損傷のリスクも0とは言い切れません。しかし人生最大の痛みともいわれる出産の疼痛を軽減し、母子ともに苦痛が少なく健康に出産できるため、麻酔のメリットとリスクを正しく知ったうえで無痛分娩を選択することは十分ありといえます。
なお、「自然分娩」という言葉は、麻酔薬・陣痛促進剤の投与や、吸引分娩・鉗子分娩といった医学的なサポートなしに経膣分娩を行うことを指します。
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