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Sunday, November 28, 2021

ノートパソコン等の小型家電はどう処分すべき?リサイクル回収で環境に優しい廃棄の仕方とは - PC Watch

“都市鉱山”と呼ばれる小型家電リサイクル

 小型家電リサイクル法、という名前を耳にしたことがあるだろうか。文字通り、小型家電のリサイクルを促進するために作られた法律だ。

 東京2020オリンピック・パラリンピックでは、メダルを作るのに必要な金・銀・銅を、都市鉱山から集めるというプロジェクトが話題になった。ここで集められたのが小型家電。以前はただ捨てられるものだった小型家電は都市鉱山と呼ばれ、リサイクルされて金・銀・銅が取り出され、実際にメダルとして作り変えられた。

 小型家電にはそれ以外にも、鉄やアルミも使われているし、様々なレアメタル(希少金属)も含まれている。多くの資源を輸入に頼る日本において、これらの資源を取り出せる小型家電は、まさに“都市にある鉱山”なのである。

 小型家電のリサイクルは今後も続くので、家庭で要らない小型家電が出たらリサイクルに回すようにしたい。しかし、どうやってリサイクルに回せばいいのか。そもそも小型家電とは何なのか。法律から廃棄方法の調べ方まで、一通りご説明していく。

小型家電って何?

 小型家電リサイクル法は、正式には「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」と言う。具体的な内容は、環境省のWebサイトに掲載されている……が、難しい文章が並ぶので、あくまで参考としてお伝えしておく。

 まずは基礎知識として、「小型家電とは何か」を学んでおきたい。ざっくり言うと、家庭で使われる家電製品のほとんどが対象になるのだが、対象から外れるものがいくつかある。

 1つは、家電リサイクル法の対象となる4品目。ややこしいのだが、小型家電リサイクル法とは別の、もっと前からある法律である。4品目は、「TV」「エアコン」「冷蔵庫・冷凍庫」「洗濯機・衣類乾燥機」。これらは消費者がリサイクルと収集運搬の費用を支払い、小売業者に引き取ってもらい、製造業者がリサイクルするという決まりになっている。これはこれで知っておいていただきたい話だが、今回は省かせていただく。

 もう1つは、パソコン(PC)だ。厳密にはPCも小型家電に含まれるのだが、こちらもPCリサイクル法という別の法律があり、そちらに則って回収されることが多い。PCやディスプレイにPCリサイクルマークのシールが貼られているものに関しては、送料を含め無料で回収してもらえる。PCの廃棄については筆者が以前執筆した記事があるので、合わせてご覧いただきたい。

 それ以外の家電については、“とりあえず”小型家電リサイクルの対象になると考えていい。デジカメやビデオ、電子レンジや炊飯器などの調理器具、電気ストーブやドライヤーなど、電気で動くものはほぼ対象になる。家電という言葉の響きからはイメージしにくいが、携帯電話やゲーム機も小型家電扱いになる。

小型家電の回収品目や回収方法は市町村ごとに異なる

 先の小型家電リサイクルの対象品目の説明で、“とりあえず”と付けたのには理由がある。住んでいる市町村によって、回収対象となる品目が変わるためだ。

 この話が今回最も重要なポイントとなるのだが、小型家電の回収は、市町村単位で行なわれる。何を回収の対象とするか、またどうやって回収するかは、各市町村が決めている。

 小型家電をリサイクルに出す際に最初にやるべきことは、住んでいる市町村の対応を確認することだ。ほかの市町村の回収方法を参考にしてはいけないし、以前住んでいたところの回収方法を踏襲してもいけない。

 各市町村の対応を確認する方法は、インターネットで「○○市 小型家電リサイクル」などと検索してみるのがいい。ほとんどの市町村で、Webサイトに小型家電の回収方法を掲載している。もし見当たらない場合は、各市町村の役所に問い合わせれば答えてくれるはずだ。

 一例として、筆者が実際に経験した2つの自治体での回収方法を紹介する。まずは筆者が以前住んでいた千葉県松戸市。

松戸市の小型家電リサイクルに関するWebサイト

 松戸市では、不要な小型家電を入れる回収ボックスが市役所や支所など市の施設に置かれている。不要な小型家電は、この回収ボックスに入れるだけでいい。もちろん費用はかからない。ノートパソコンや携帯電話も回収品目に含まれている。

 回収方法としては分かりやすいのだが、難点が2つあった。1つは回収ボックスの置かれている場所があまり多くないこと。筆者が当時住んでいた場所からは、最も近い支所でも2kmほどあり、わざわざ持っていくのはそれなりに手間がかかった。

 また回収ボックスは投入口の大きさが30×15cmで、それ以上の大きさのものは入れられない。例えば最新ゲーム機であるXbox Series Xは、サイズが151×151×301mmとなっており、ギリギリで入らないことになる。

 ただし、一辺の長さが50cm未満のものに関しては、資源ごみとして出せる(ノートパソコンや携帯電話は除く)。一辺50cmを超えたものは、粗大ごみとして回収。いずれの場合も、リサイクル可能な小型家電はリサイクルするとしている。

松戸市に設置されている回収ボックス
15インチのノートパソコンは何とか入るサイズ(撮影のためのサンプルで、実際には廃棄しておりません)
一見かなり小さなサーキュレーターだが、最も狭い部分でも15cm以上あるため入らなかった

 続いて紹介する自治体は、筆者が現在住んでいる千葉県流山市。先に紹介した松戸市に隣接する市である。

流山市の小型家電リサイクルに関するWebサイト

 流山市では、一辺が1m以内の小型家電は燃やさないごみ、それ以上の大きさのものは粗大ごみとして出せる。出された小型家電は、クリーンセンターで選別されてリサイクルされる。

 家電リサイクル法の4品目やPC、携帯電話は回収対象にならないが、それ以外の家電で一辺が1m以内であれば、燃やさないごみの日に収集場所に出しておくだけでいい。比較的大きな小型家電(という表現も辺だが)でも、どこかに持っていくことも追加料金を払うこともなく、簡単にリサイクルに出せる。

 小型家電の処分方法としては、日本一簡単なのではないかと思う。ただ、大量の分別作業をされる方の負担や、きちんと分別されリサイクルに回っているかどうかなど、少々不安な面もある。

 2つの市は同じ千葉県で隣接している自治体だが、回収方法や品目には大きな違いがある。そのほかの市町村を見ていると、自治体の施設のほかに家電量販店などに回収ボックスを置いているところもあれば、回収ボックスとごみの分別を併用しているところもある。繰り返しになるが、回収方法や品目は市町村によって異なるので、ほかの市町村の情報を流用せず、必ずお住まいの市町村の対応を調べるようにしていただきたい。

自治体での回収以外にもリサイクル方法はある

 市町村でリサイクルしてくれると言っても、回収方法が自分に合わないとか、粗大ごみ扱いになるサイズが大きなものは手配が手間ということもあるだろう。それでも適切にリサイクルする方法は、ほかにもいくつかある。

家電量販店でも小型家電を回収している。画像はヤマダ電機のWebサイト

 まずは家電量販店で回収してもらう方法。大手家電量販店では、ほとんどの店舗で小型家電の回収を行なっている。品目や料金設定については、大手家電量販店ではほぼ横一律の内容で、品目ごとに0円から4,400円で回収している。出張引き取りでの回収も有料で対応するとしている店も多い。

 マッサージチェアのような大型家電だと、粗大ごみとして出そうにも、家から運び出すのも大変だ。そんな時には、家電量販店に回収してもらえないか相談してみるのも手だ。

 近くに家電量販店がない、あるいは感染予防のため人との接触を極力避けたいなどの理由がある場合、宅配で回収してくれるサービスが便利だ。

 リネットジャパンリサイクルでは、ダンボール箱に入れて郵送するとリサイクルしてくれる宅配回収サービスを行なっている。使用するダンボール箱は、縦・横・高さの合計が140mc以内、重量が20kg以内であれば、1箱1,650円で回収してくれる。ダンボール箱の事前配送や、料金の代引き払いにも有料で対応している。

 同社はPCリサイクルも実施しており、箱にリサイクルマークのあるPCを含む場合は無料になる。もし廃棄したいノートPCがある際には、箱に入る範囲でほかの小型家電を一緒に詰めて送れるので便利だ。

 スマートフォンを含む携帯電話のリサイクルについては、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの各ショップで回収している。いずれもキャリアやメーカーを問わず、無料で回収を受け付けている。

 携帯電話は自治体や家電量販店でも回収してはいるのだが、他人の個人情報を扱うものであり、PC以上に情報漏洩に注意が必要。携帯電話はデータが内部メモリやSDカード、SIMカードなどに散っていて完全に消去するのが難しく、故障していればより困難になる。その点、専門家であるキャリアのショップで回収してくれるのは安心感がある。

小型家電リサイクルは認定事業者に任せよう

 最後に、小型家電リサイクルを行なう事業者についても学んでおこう。

 小型家電リサイクル法では、小型家電回収およびリサイクルを適切に行なう事業者を環境省が認定している。これは認定事業者と呼ばれ、環境省のWebサイトに事業者の一覧が掲載されている。

 この一覧を見ると、先に紹介したリネットジャパンは含まれているものの、家電量販店の名前は見当たらない。これはどういうことだろうか。

 この点については、認定事業者らが設立した小型家電リサイクル協会のWebサイトを見ると分かる。

 これによると、大手家電量販店のほとんどが、同協会での小型家電の回収に協力している。つまり、家電量販店は認定事業者への取り次ぎを行なっている形だ。認定事業者の中にはリネットジャパンのように直接回収している事業者もあるが、基本的には家電量販店や市町村を通じて回収・リサイクルを行なっている(参考)。

 ここで注意しておきたいのが、認定事業者でない者による回収だ。同協会によると、街中を巡回する回収トラックや、回収を謳うチラシを入れる業者などは、認定事業者ではないという。それどころか、一般廃棄物処理業の許可を持たない違法業者までいる。

 こういった業者は、正しくリサイクルを行なわない可能性があるほか、不法投棄や、有害物質の放出、不適正な管理による火災の発生など、問題を起こすケースがある。このあたりの情報は、環境省のページでまとめられている。使用済みの小型家電が正しくリサイクルされるよう、適切な手順で処分するようにしたい。

環境省でも、無許可の回収業者を利用しないよう呼びかけている(参考)

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