ファインナンスの基本概念で最も基礎的なものが「Time Value of Money(貨幣の時間価値)」である。運用のリターンを考えれば、今手元にある1円と、1年後に手に入る1円は等価ではない。利率を「i」とすれば、今の1円は「1年後の1+i円」と等価であり、逆に将来の1円は「今の1÷(1+i)円」と等価である。 このとき、利率にはさまざまなものがあるため、iとして何を使うべきかが問題である。通常は考えをわかりやすくするため、Risk-free Rate(無リスク金利)というものを考える。 リスクとリターンには関係があり、リスクを取れば高い運用成果が得られることを前提にすれば、運用対象が安全であるほど金利が低いという理屈になる。したがって、無リスクの運用に対応する金利が最も低く、これをベース金利とするわけである。 通常、無リスク金利として、政府の保証する金融商品の金利、日本であれば国債などの利回りが用いられる。国債が本当に無リスクであるかどうかは異論もありうるところだが、これを否定するとほかに使うべき指標が難しくなるので、あまり深くは追求しないのが慣行である。
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