弁護士法人「東京ミネルヴァ法律事務所」が顧客の預かり金を返さないまま破産した問題で、預かり金の一部が業務提携先の広告会社側への支払いに流用されたとして、顧客らが近く、広告会社側の代表らに約6千万円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。広告会社側が同法人の運営を事実上取り仕切り、弁護士法に違反する「非弁活動」をしたなどと訴える。
ミネルヴァは、多重債務者が払いすぎた利息を消費者金融から取り戻す「過払い金返還請求」のCMで顧客を集めたが、2020年6月に破産した。負債総額は、弁護士法人で過去最大の約51億円に上った。
訴状によると、広告会社側は、ミネルヴァとコンサルタント契約などを締結。本来は弁護士が処理すべき債務整理や過払い金回収を派遣事務員に担わせ、ミネルヴァの資金口座も派遣事務員に管理させていたという。ミネルヴァは、広告会社側への「経費支払い」の名目で、顧客に返還すべき過払い金などを使ったとしている。
原告「広告会社側がミネルヴァを支配していた」 違法な非弁活動も指摘
弁護士法では、資格のない非弁護士が事件を処理する非弁活動や、非弁護士から仕事のあっせんを弁護士が受ける非弁提携を禁じている。原告の弁護団は、ミネルヴァと広告会社側の関係が非弁提携にあたり、「広告会社側が一方的に経費の請求額を決めてミネルヴァの利益を全て吸い上げるように支配していた」と指摘。原告の顧客が受け取るべき過払い金などが「横領された」と主張している。
ミネルヴァが所属する第一東京弁護士会の調査では、広告会社側に約30億円が流れたとされ、代表弁護士も流用を認めている。同会は、同法違反にあたるとみて懲戒処分になるかどうかを調べており、刑事告発も検討している。
広告会社側は取材に「コメントは控える」とした。(新屋絵理)
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