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Wednesday, July 6, 2022

【独自】旧年金施設の組織改編巡り、運営会社が20億円申告漏れ…国税「租税回避」と判断か - 読売新聞オンライン

 旧「年金福祉施設」を運営する企業グループの組織再編を巡り、運営会社「ホテルマネージメントインターナショナル」(HMI、東京)が東京国税局から約20億円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかった。吸収合併した子会社の欠損金を取り込むことで所得が圧縮されていたが、税負担の軽減が目的の「租税回避行為」に当たると判断されたとみられる。

 過少申告加算税を含む法人税の追徴税額は約5億円。HMIは修正申告に応じており、取材に「解釈の相違があったが、意見交換をしていく中で国税局の解釈が正しいと判断した。租税回避や仮装・ 隠蔽いんぺい の認定を受けた事実はない」と文書などで回答した。

 関係者によると、HMIは2017年10月、ホテル運営会社「 知立ちりゅう 観光」(愛知、解散)を子会社化。翌11月21日、知立観光が出資して新たに合同会社を設立し、知立観光が全国約10か所で運営していた旧年金福祉施設などのホテル事業を合同会社に承継した。

 会社間で事業や不動産を承継する場合、帳簿上の価格(簿価)と時価に差があれば、譲渡益や欠損金が発生する。知立観光が運営していた施設は建設から年数がたち、時価が簿価を下回っていたことから、知立観光に約35億円の欠損金が生じた。

 8日後の同29日、HMIは知立観光を吸収合併し、欠損金をHMIに取り込んだ。HMIはその後の19年6月期の税務申告で、この欠損金のうち約20億円を自社の黒字と相殺し、法人税額をゼロと申告した。

 これに対し、20年に開始された東京国税局の調査では、吸収合併の前日、知立観光が合同会社の経営権(持ち分)を別の関連会社に譲渡していたことが判明した。

 企業の合併や分割に関わる「組織再編税制」では、別会社に譲った事業や不動産に対する「支配」が続いていると、欠損金が発生しない仕組みになっている。HMIの組織再編では、知立観光が合同会社の経営権を手放したことで、欠損金が生まれていた。

 だが、同国税局の調査では、再編後、接客や仕入れなどの施設の運営は、合同会社やその経営権を持つ関連会社ではなく、HMIが実質的に行っていたことが確認されたという。

 東京国税局はこうした経緯を踏まえ、一連の再編には欠損金を利用して税負担を減らす狙いがあったと判断。欠損金の計上や黒字との相殺は認められないと指摘したとみられる。

 HMIは05年設立で、旧年金福祉施設などを買収して事業を拡大。08年には郵政民営化に伴う「かんぽの宿」の入札にも参加した。今年6月時点で全国46施設を運営。民間の信用調査会社によると、21年6月期の売上高は約196億円。

 ◆ 年金福祉施設 =「厚生年金会館」や「健康福祉センター(サンピア)」など、国が厚生年金や国民年金の保険料を使って建設した。保険料の無駄遣いと批判され、2005~10年に約300施設が民間に売却された。

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