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Wednesday, August 3, 2022

ロシア「サハリン2」事業を引き継ぐ新会社設立を決定 - nhk.or.jp

日本の大手商社も出資するロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐってロシア政府は3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立することを決定したと発表しました。日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。

日本にLNG=液化天然ガスを供給しているサハリン2の事業主体「サハリンエナジー」社はロシアの政府系ガス会社ガスプロムのほか、イギリスの石油大手シェルが27.5%、日本から三井物産が12.5%、三菱商事が10%をそれぞれ出資しています。

プーチン大統領は6月30日、「サハリンエナジー」社を新たに設立するロシア企業に変更し、その資産を新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名していました。

ロシア政府は3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業をサハリン州の中心都市ユジノサハリンスクに設立することを決定したと発表しました。

2日付けの政令で3日以内に必要な登録手続きを行うことを求めています。

大統領令では外国企業に対して設立から1か月以内に株式の譲渡に同意するかどうかロシア側に通知する必要があるとしています。

日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。

「サハリン2」日本のLNGの輸入量全体に占める割合は7.9%

日本は天然ガスをマイナス162度まで冷やしたうえでLNG=液化天然ガスの形で船で国内まで運んでいて、ほぼ全量を海外から輸入しています。

財務省の貿易統計によりますと日本が輸入するLNGの量を国別の割合でみると2021年の時点で
▽オーストラリアが35.8%、
▽マレーシアが13.6%、
▽カタールが12.1%、
▽アメリカが9.5%、
▽そしてロシアは8.8%となっています。

ロシアからの輸入のほとんどは「サハリン2」で生産され、日本のLNGの輸入量全体に占める割合は7.9%です。

「サハリン2」で生産されるLNGの量は年間およそ1000万トン。このうち日本はおよそ600万トンを輸入しています。

ロシアの極東、サハリンは中東などの供給国と比べると日本との距離が近く、3日程度で運ぶことができ、輸送ルートに紛争地域もないため事故などのトラブルにあうリスクを抑えることができるということです。

こうしたことから「サハリン2」は、比較的安い価格で長期的にLNGを確保できる供給拠点として日本にとってエネルギー安全保障上、重要なプロジェクトと位置づけられています。

日本政府の対応は

サハリン2をめぐっては、これまでの事業主体の「サハリンエナジー社」にロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」が50%、イギリスの「シェル」が27.5%、日本勢では「三井物産」が12.5%、「三菱商事」が10%それぞれ出資していました。

ことし6月30日にロシアのプーチン大統領が署名した大統領令では、ロシア政府が新会社を設立したあと、サハリン2に参画する外国企業に対して、1か月以内に出資を続ける意思があるかどうか回答するよう求めています。

政府は、「サハリン2」を日本の電力やガスの安定供給の観点から重要なプロジェクトだと位置づけていて、日本企業の権益を守り、現地で生産されるLNG=液化天然ガスの安定供給が確保できるよう官民一体で対応する方針です。

ただ、新会社に参画するための詳細な条件などが不透明なことから政府は、ロシア側の出方を見極めたうえで今後の対応について判断することにしています。

日本はG7=主要7か国と歩調を合わせてロシアへの経済制裁を強化していて、こうした姿勢を続けながらサハリン2の権益をどう守るのか難しい対応を迫られています。

三菱商事「事業パートナーや日本政府と連携して対応検討」

「サハリン2」をめぐって、ロシア政府が事業を引き継ぐ新たなロシア企業の設立を決めたと発表したことについて、事業に出資する三菱商事は、「政府の決定が出たことは認識していて、内容をこれから精査する。そのうえで、今後の対応については事業パートナーや日本政府と連携して検討していく」とコメントしています。

三井物産「影響や内容を確認・分析している」

また三井物産は「政府の発表や関連の報道に関しては認識していて、その影響や内容を確認・分析している。引き続き、日本政府やパートナーを含むステークホルダーと、今後について協議し、適切に対応していく」とコメントしています。

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