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Saturday, September 10, 2022

できる管理会社の見分け方:実話からイメージする管理会社の評価・選定の着眼点とは?|不動産投資の健美家 - 健美家株式会社

「物件購入と同じかそれ以上に大切なのが管理である」という言葉は、不動産投資や大家業をこれから始めようと勉強を始めている方ならどこかで聞き及んでいるだろう。

一方で順番としては、物件あっての管理会社、でもある。というのも、立地や構造などの物件プロファイルによっても必要な管理内容やオーナーの自主管理の程度も変わってくるからであり、通常は物件購入の目途が立って初めて管理会社選びに目が向くのではないだろうか。

とりわけ、まだ投資物件を1つも所有していない方が物件購入と並行して管理会社の評価・選定にベクトルを向けるのは簡単ではないことが想像できる。

そこで、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(日管協)の理事である加藤 豊様への取材を通じて、賃貸管理や建物管理において実際にあったエピソードに基づき、オーナーとしての心構えや管理会社を評価・選定する際の着眼点や考え方を伺った。

物件購入時と同じ緊張感が管理会社選びにも必要(写真はイメージ)
物件購入時と同じ緊張感が管理会社選びにも必要(写真はイメージ)

「投資家」である前に「住まいのオーナー」であれ

ひとたび物件を所有すれば、専有部分であれ共有部分であれ、管理対象に対しての当事者になる。

同じ「投資家」に括られるとしても、例えば株式の保有者と不動産の所有者では事業そのものへの直接的な関与度合いが異なるように、物件を所有するということは課題を解決するビジネスオーナーになることである。

「過去に、わたしが理事長を務めたマンションの総会で、参加した区分所有者の一人が『投資家』という肩書の名刺を持ってきたのです。

だが、その方は総会の議場において、およそ議題になっている根本問題の指摘ではない質問を繰り返していました。

それ以来、『マンションを買ったからそれで投資家と言えるのか?』という疑問をずっと持っています。『投資家』と名乗る人ほど本質的な質問ができず、入居者が抱えるニーズの把握やトラブルの解決に目が向いていないのではないか。すなわち、管理面に目が向いていないのではないか、ということです」

日本賃貸住宅管理協会 理事 加藤 豊氏
日本賃貸住宅管理協会 理事 加藤 豊氏

管理料に見合ったバリューを提供してくれるかを見抜く

「入居者がいて初めて収益物件と言えます。しかし、客付けを専門として入居者募集に強い会社があっても、そういう会社が必ずしも日々の管理業務に強いとも限らないでしょう」

トラブルや困りごとに対応できるかどうか、かつそのエリアを知っていて入退去対応もできる、という二軸で管理会社を評価すべきだろう。

また、売買専門の会社の売り込みにそのまま飛びついたり、売り手側の言葉を鵜呑みにしていないだろうか。

「つい最近もある投資物件における売買時、買主が売主に今までの管理について尋ねたところ、売主に『現行の管理会社に任せておけば全く問題なかった』と言われてそのまま管理の継続を従来の管理会社に決めていた例がありました」

物件を紹介してくれた会社にそのまま管理を任せてよいかどうかは、よく吟味すべきであるし、管理料にしても然りだ。

「管理会社によっても物件によっても管理内容は異なるため、『管理料は3の管理料』といったように、たとえ価格差があってもそれを超える価値があるか、という観点で話を聞くべきです。

サブリース契約に関しても同じです。サブリースしたからといって例えば賃料の10を払うなら、管理会社に5%、家賃を5%下げても究極は一緒です」

常にそのコストに見合う価値判断をする必要があるということだろう。

入居者にどういうことを伝え説明しているか?

管理会社はオーナーに代わって入居者との接点になってくれる存在でもある。それはとりもなおさず、その投資物件の価値最大化のカギを握る存在ということでもある。

「以前に賃貸借契約の締結に同席したとき、賃借人となる申込者は最初、どういうわけか小難しそうにして斜に構えた態度でした。ともあれ契約時の説明のなかで、こちらから『ゴミの出し方』や『部屋の使い方』など生活の知恵のようなことまで丁寧に説明して差し上げました。

例えば『冷蔵庫は壁から10cm離したほうが電気代にやさしい』とか『冷蔵庫やベッドの足の下にクッションを置いておくと退去時の原状回復で負担を減らせる』など、単に契約上のことだけでなく、快適な暮らしにつながり、かつ入居者の負担減につながる内容までガイドしました。

そうすると気難しそうにしていた申込者が突如立ち上がり、『オレ、実は今回で賃貸の契約は8回目なんだ。初めてこんな丁寧な説明を受けた。丁寧に使うよ』と言い、感謝の意を込めた握手を求められました」

部屋を大切に扱ってもらうことは結果としてオーナーにもプラスに跳ね返ってくる。

「管理会社を評価する観点の一つとして、『入居者にどのような情報をガイドしているか』ということを聞いてみるのもよいでしょう。自分達がどういう管理をしているかを自信をもってオーナーに説明できるか、という点もそこで評価できます」

制度・法令・規制の点から見た客観性のある管理会社の指標

例えば、宅建協会への苦情として「管理会社の賃料持ち逃げ」が多いそうだ。

「令和3年6月15日に施行された賃貸住宅管理業法では、金銭の分別管理が義務付けられています。会社のお金なのか預かっているお金なのか、が明確になっていることが要件とされます。一つには国土交通省に登録された業者であることは最低限の確認事項ではないでしょうか」

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例えるなら、国民が銀行に自分のお金を預けられるのも、国が銀行を厳しく見ている後ろ盾があるからであり、それと同じことだ。

「日管協としても『預り金保証制度』として最大1,000万円を保証できる制度などを整備していますが、自分のお金を預かってもらう機会がある以上、お墨付きを得ている会社であるに越したことはありません。

その管理会社がどこに登録されているか、どこに加盟しているか、を調べるのはそれほど知識がなくてもできることではないでしょうか。

一瞬で終わる売買よりも管理が大切なのは間違いないでしょう。法律が整備され管理が注目される中、管理業務は法律で定められている以上に多岐に渡ります。日管協としても加盟企業向けに『賃貸住宅管理業務セルフCheck Book』を作成しています」

業界における管理内容の標準化や業務水準向上に対する一助となることが期待されている。

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こと物件購入に際しては、売買価格、積算価格、利回り、駅からの距離、平米数、築年数、管理費、修繕積立金、など数値化された情報に基づく判断材料が多い一方、管理会社の評価・選定においては管理料を除けば数字以外の要素が占める割合も多く、決め手となる判断がしにくいことも悩みの一因だろう。

管理内容の中身をよく把握することを前提として、管理会社間の比較をする際にはまず、自分なりに定める最低要件(国土交通省の登録有無など)を満たしていることを確認する。

その上で、費用面の差や管理内容の違いがあればそれらを天秤にかけたり、甲乙つけがたい場合にはオーナー目線や入居者目線の有無を加点材料にするなどして、自分の物件にマッチする優位性を持つと判断した管理会社を選定できるとよいだろう。

そのような選定をするために、日頃から幅広く管理会社にヒアリングをしておくことで、管理会社のレベルに対する”相場観”と目利きを養うことにもつながるのではないか。

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執筆:三刀流大家

中島さん(三刀流大家)

■ 主な経歴

健康関連業界で都内に勤務する現役サラリーマン。ヨーロッパ駐在を経て帰国したのち、副業テニスインストラクターとしても活動。兼業大家でもある”三刀流”ライター。
趣味・ライフワークは、読書、映画、献血、テニス、日記、ワイン、高カカオチョコ、コーヒー、モーツァルト、CHAGE&ASKA、キン肉マン。

北海道大学卒業。薬剤師免許、バイヤー向け資格CPP-A級(Certified Procurement Professional)保有。

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