過疎化が進む岐阜県山県市北部の円原地区で、地元出身の河口準さん(52)が実家の空き店舗を手作業で改装し、県内でも珍しいベトナムコーヒーのカフェを経営している。「自分が頑張ることで地域を盛り上げたい」と、古里の活性化に一役買う思いで、2019年12月に開店した。開店間もなく新型コロナウイルス禍に直面するも、山里でも異国情緒が味わえる空間に、少しずつファンを増やしている。
木々の間から光芒(こうぼう)が差し込む写真スポットとして知られる円原川のほとりにあるカフェ「フィン・アンド・ビーン」。河口さんは現地から取り寄せた豆で自慢のコーヒーを入れる。「甘くて香りがいいでしょ。きっと人生で初めての味だよ」とほほ笑む。
河口さんが子どもの頃の地域はまだ住民が多く、夏は友達と川で遊び、冬は雪合戦をするのが楽しみだった。高校を卒業すると、市外に出て公務員として働いた。淡々と仕事をこなす中、30歳を過ぎた頃に海外へ挑戦する心が芽生え、英国へ渡った。その後はタイで過ごし、8年間を海外で過ごした。
海外での生活で学んだのは「自分が自分らしく生きること」。帰国後も仕事をいくつか転々とする中、自分らしく生きられる場所として古里でカフェを開くことを決めた。選んだのは海外旅行で出合ったベトナムコーヒー。人口減少が著しい中山間地域で名物にする思いがあった。
改装作業は、ほぼ一人でこなした。床や壁の張り替えから、テーブルや棚の準備、トイレの水道工事まで約10カ月間で仕上げた。店内の絵画やインテリアは異国情緒を醸し出している。
オープンして間もなく新型コロナの感染が拡大し、難しい経営を強いられても河口さんは前を向いた。徐々にファンを増やし、今では岐阜市近郊や愛知県からの常連客も多い。
今後は、生まれ育った地域の環境保全や、移住者が増えるようなイベントの企画を考えており、「お客さんの喜ぶ顔がうれしい。みんなの思い出に残る場所にしたい」と話す。
からの記事と詳細 ( ベトナムコーヒーカフェ「人生初の味に出合える」実家改装、岐阜の過疎地で奮闘 - 岐阜新聞 )
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