こんにちは。料理家の美窪たえです。
気温が下がると鍋が恋しくなりますよね。ということで本日は、こってりクリーミーな味わいで体の芯から温まる「濃厚味噌仕立てのモツ鍋」をご紹介します。
モツ鍋はお店で食べる料理というイメージが強いかもしれませんが、牛モツの下処理をして、濃厚なスープを用意すれば、自宅でもおいしいモツ鍋を作ることができます。
とはいえ、牛モツはスーパーなどで目にする機会が少なく、鮮度が落ちるのも早い食材です。そのため、スーパーで牛モツを見つけたらとりあえず購入しておき、鮮度を落とさないように正しく冷凍保存しておくことが重要になります。
本記事では、牛モツの冷凍方法や下処理の方法など、丁寧に解説していますので、安心してモツ鍋に挑戦していただけるかと思います。
それでは早速作っていきましょう。
【材料】2人前
- 牛モツ(小腸or大腸)……300g
- キャベツ……1/4個(300g)
- ニラ……1/2束(50g)
- ごぼう……50g
- 豆腐……1丁
- にんにく……2かけ分
- 鷹の爪(輪切り)……2つまみ
- 中華麺(乾麺タイプ)……1束
[スープ]
- 出汁……600cc(通常の2倍の濃さを目安に抽出したもの)
- 日本酒(料理酒)……50cc
- みりん……50cc
- 牛乳……50cc
- 味噌……100g
- 醤油……大さじ2
- おろしにんにく……大さじ2
- すりごま……大さじ2
スーパーで買える牛モツについて
モツ鍋は、鮮度のいい牛モツを入手できるかどうかが最も重要になる料理です。
▲今回は小腸(別名マルチョウを使用します)
一般的にモツ鍋に使用する牛モツは、ぶりっとした食感にとろけるような脂がたっぷり付いた小腸が使われます。小腸よりやや脂が控えめの大腸(別名シマチョウ、テッチャン)でも、モツ鍋を作ることができます。
ただし豚モツは、風味や食感が牛モツとは全く異なり、今回のレシピには向かないため、購入時には間違えないように注意してくださいね。
牛モツはスーパーで目にする機会が少なく希少な食材と言えます。運良く見つけたとしても、牛モツの種類まで選べるケースはレアでしょう。
なので、自宅でモツ鍋を作ってみたいという方は、牛モツを見つけたらとりあえず購入して、冷凍保存しておくことをおすすめします。
牛モツは、ビニール袋でしっかり密閉して冷凍すれば、鮮度を損ねずに保存することが可能です。(冷凍してから1か月程度を目安に使い切るのがおすすめです)
そのまま冷蔵庫に移せば、3〜4時間程で解凍されます。完全に柔らかく解けていなくても、バラバラになれば下処理ができます。その日のうちに調理すれば、鮮度を維持したまま、おいしく食べることができますので、ぜひ冷凍庫から冷蔵庫に移す解凍方法を試してみてください。
濃厚味噌仕立てのモツ鍋の作り方「牛モツの下処理編」
まずは、メインとなる牛モツの下処理からご紹介していきます。丁寧に下処理をすることで、牛モツ特有のにおいや脂が抑えられて、よりおいしく食べられるようになりますよ。
1.お鍋にお湯(分量外)を沸かして牛モツを入れ、中火で3分ほど茹でます。
※筒状になっているマルチョウを使用する場合は、皮目に切り込みを入れて開いてから茹でてください。
2.茹でた牛モツを水(分量外)が入ったボウルに入れます。
この工程を行うことで、牛モツのくさみを落とす効果があります。まだにおいが気になる場合は、もう一度きれいなお湯で下茹ですると軽減できる場合があります。
しかし、下茹でをしすぎると、牛モツの脂や風味が過剰に抜けてしまいますので、ある程度はモツの個性として捉えてみてください。
3.牛モツをザルに上げて水気を切っておけば、下処理は完了です。
濃厚味噌仕立てのモツ鍋の作り方「スープと具材の準備編」
1.ボウルにスープの材料を入れて事前に混ぜ合わせておきます。
出汁は、濃いめのもの(通常の2倍の濃さを目安)をご用意ください。出汁パックや顆粒出汁など、普段使っているもので大丈夫です。濃いめの出汁をベースに、味噌、日本酒、みりんを気持ち多めに使うことで、牛モツに負けない贅沢な味わいのスープを作ることができます。
味噌も普段から食べ慣れているもので構いません。今回は信州産の米こうじ味噌を使用しています。
また、スープをワンランク格上げしてくれるのが牛乳です。
意外なことに牛乳と出汁の風味はとてもなじみが良く、牛乳を加えることによってスープ全体にまろやかなうま味と自然なコクが生まれます。牛モツと牛乳の相性も牛同士で抜群。ぜひお試しください。
ちなみに、スープを混ぜ合わせる際、味噌のようなペースト状のものに大量の液体を合わせると、溶かし込むのに手間と時間がかかります。まずは味噌とおろしにんにくと液体調味料をボウルに入れて混ぜ合わせてから、すりごまと牛乳を入れ、出汁を少しずつ加えることで、スムーズに混ぜ合わせることができますよ。
2.具材をカットしていきます。
キャベツは5cm角のざく切り、ニラは5cm幅にカット、ごぼうはささがき、豆腐は1丁を6〜8つにカット、にんにくは薄切りにします。
味噌味のモツ鍋を作る場合は、水分が少なくて煮ると甘味の出る具材を選ぶと、スープとの相乗効果が期待できます。
キャベツ、ニラ、ごぼう、にんにくは、比較的水分が少なく、加熱すると特に強い甘味を感じられる具材なのでおすすめです。
一方で白菜、もやし、きのこなどは、水分が多いためスープを薄めてしまい、全体のバランスを崩す可能性があるため、避けておくのが無難です。
今日の具材の中で唯一水分を多く含む豆腐ですが、出てくる水気に大豆の甘さがあり、牛モツとの相性も良いので、例外的におすすめです。すぐに温まり、それほど多くの水分は出てきませんが、たくさん入れるとスープが薄まりますので、ご注意くださいね。
ちなみにごぼうは、ピーラーを使うと手早くささがきにできますよ。
濃厚味噌仕立てのモツ鍋の作り方「仕上げ編」
準備ができたところで、材料をお鍋に盛り付けて加熱し、仕上げていきましょう。
1.お鍋の底にキャベツを敷き詰めたら、牛モツと豆腐、ごぼうをバランス良く盛り付け、火の通りが早いニラを一番上にのせます。ニラの上に、鷹の爪(輪切り)、お好みでごま(分量外)、薄切りにしたにんにくをあしらえば、お鍋の準備は完了です。卓上にカセットコンロをセットして、席に着きましょう!
2.お鍋の高さの半分くらいまでスープを注ぎ、中火にかけます。
温まってくると具材から水分が出てきますので、スープは最初からたっぷり入れずに、様子を見て途中で足すようにしてください。
3.スープが沸いてきたら弱火にし、そのまま10分ほど煮ます。キャベツとごぼうがしんなりしたら、ニラをほぐして出来上がりです。
濃厚味噌仕立てのモツ鍋の楽しみ方
まずは熱々のスープからどうぞ。濃いめに仕立てたスープに、牛モツの脂やうま味、牛乳のコクと野菜の甘味が加わり、濃厚な味わいを感じていただけると思います。
プリッと煮えた牛モツは、トロトロの脂と独特の歯応えがたまりません。濃厚なスープとバランスが取れていて、お互いの良いところを楽しめるような味わいになっています。
スープが煮詰まるほどに、野菜から滲み出た甘味も強くなっていき、微妙な変化も楽しんでいただけるようになっていますよ。もしスープが濃く感じたら、出汁か水(分量外)を足して調整してみてくださいね。
ある程度具材を食べたら、〆に移行しましょう! このお鍋におすすめの〆は、水で戻した乾麺タイプの中華麺で作る濃厚味噌ラーメンです。
乾麺を水に浸して柔らかく戻す水漬け麺は、下茹でなしで直接お鍋に入れられるので〆に最適です。細めの麺なら30分〜60分程度で柔らかくなりますので、お鍋を火にかけ始める頃に準備しておくとちょうど良いですよ。
ビニール袋に乾麺と水(分量外)を入れて、平らなところに置いておけば戻すことができます。
戻した麺の水気を切ってお鍋に加え、2〜3分煮れば〆の濃厚味噌ラーメンの完成です。
長めに煮込むとスープにとろみがついてきますので、お好みで、卵(分量外)を割り入れ、あらびきこしょう(分量外)をたっぷり振ると、その味わいはまるでカルボナーラのように……。もちろんお鍋の〆の定番、雑炊やうどんでもおいしくいただけますので、お好みの形で楽しんでみてくださいね。
まとめ
濃厚味噌仕立てのモツ鍋はいかがでしたか?
運良く牛モツを手に入れたら、ぜひ挑戦していただきたいと思います。牛モツのうま味と牛乳入り濃厚味噌スープのコク、野菜の甘味が混然一体となった味わいを余すところなく存分に楽しんでくださいね。それでは。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。
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