秋田港駅(秋田市土崎港西)に放置されてきた寝台列車「ブルートレイン」の解体作業が始まった。県の第3セクター「秋田臨海鉄道」(同)では今年度中の作業完了を目指しているが、鉄道ファンからは現役を引退した車両の解体を惜しむ声が出ている。
解体が行われているのは、臨海鉄道の敷地に置かれたブルートレインの客車や機関車、貨車の計52両。客車は2014年まで上野(東京)―青森駅間を結んだ寝台特急「あけぼの」に使われていた24系客車で、秋田駅も停車駅の一つだった。
車両は15年にアフリカのコンゴ民主共和国に輸出するため、東京都内の貿易会社が秋田港まで運んだが、その後計画が頓挫。以降、秋田港駅に放置されていた。臨海鉄道は、貿易会社との訴訟などを経て昨年10月に車両を取得。11月から解体を始めた。
臨海鉄道は21年に鉄道事業を終了し、会社清算を目指している。佐渡嗣社長(54)は「車両の取得と解体は会社の解散に向けて必要だった。何とか年度内に作業を済ませたい」と話す。1970年代に製造された24系客車には石綿が使用されており、慎重に解体を進めている。積雪の影響を受け、完了が遅れる可能性もあるという。
一方、鉄道ファンからは存続を求める声が相次いだ。24系客車はすでに現役を退いており、愛好家などから毎日のように保存を求める電話があったという。
実際に車両の取得や保存を目指す動きもあった。東京都内の人材コンサルタント会社「青山トラン・ブルー」の坂本和久社長(51)は2021年、知人から秋田港駅にブルートレインが放置されていると聞き、保存に動いた。取得後、線路を走れるように修繕する計画も立てたという。
しかし、必要な書類を競売までに用意できず、取得を断念。最後の姿を一目見ようと昨年11月上旬、秋田港駅を訪れ、「ブルートレインを走らせたかった」と車両を目に焼き付けていた。
臨海鉄道によると、青山トラン・ブルー以外にも、鉄道の中古部品を扱う会社から購入したいとの申し出があったが、石綿の処分方法が決まらず、販売には至らなかった。佐渡社長は「私たちも鉄道人。決して車両の保存に反対しているわけではない」と強調する。ただ、臨海鉄道自身が会社の清算を目指していることもあり、「先がある会社ならば違う道もあったかもしれない」と話している。
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