◆戦時体制理由に5選への道筋描くプーチン氏
プーチン氏は22日、モスクワで20万人以上が参加した愛国集会で「祖国とは家族である。私たちの歴史や文化、言語を守る戦いがある」と演説し喝采を浴びた。大学生アナスタシアさん(20)は「私は愛国者。プーチンの決定をすべて支持する」と熱狂した。
独立系機関の世論調査でも、侵攻への支持は7〜8割で推移。プーチン氏は来年3月の大統領選に出馬するとみられ、22日は「体制内野党」の党首が戦時挙国体制を理由に、プーチン氏の対立候補を出さないよう呼びかけた。高得票率での5選を目指すプーチン氏は大統領選を前に、不利な形での停戦やウクライナへの妥協は選択肢にない。
「プーチン政権の天敵」と呼ばれ、収監中の民主派野党指導者ナバリヌイ氏は20日、交流サイト(SNS)で「プーチンは個人的な野望のために国の将来を破壊している」との声明を出し、ウクライナで多数の市民が殺害されていると糾弾した。しかし旧ソ連時代を懐かしがり、ロシアの勢力圏回復を願う国民も多い。反政権派のジャーナリスト、ヤコベンコ氏は「プーチンはロシア人の中に眠る侵略思想を呼び覚ました」と指摘する。
◆欧米が兵器供与を約束 領土奪還目指すゼレンスキー氏
一方、ウクライナはこうしたプーチン政権の膨張主義に苦しんできた。政権が親ロから親欧米に転換した2014年以降、南部クリミア半島が併合され、東部ドンバス地域も親ロ派武装勢力に占領され、昨年2月の全面侵攻開始までウクライナ軍と親ロ派による紛争が8年間も続いた。
プーチン氏は侵攻直前の演説で「歴史的に実態のないウクライナという国家の解体」を明言しており、ウクライナ側には「仮に停戦しても、再びロシアは侵略してくる」(アレストビッチ元大統領府顧問)との見方が強い。欧米から戦車を含む兵器の供与が約束されている現状では、ウクライナが停戦に応じる理由はなく、ゼレンスキー氏は「クリミアを含む領土の一体性回復」を目標とする。
◆周辺国もロシアの標的、停戦しても火種は消えない
仮に両国の停戦が現実になっても、この地域に平和が戻るわけではない。周辺国がロシアの標的になる可能性があるためだ。モルドバや黒海に面したジョージア(グルジア)など、ロシア軍や親ロ派が領土の一部を実効支配する国々では、反政権デモを装った政権転覆や、ロシアによる併合が起きる恐れがある。
ロシアの軍事評論家ルージン氏は独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ欧州」に「ロシアはウクライナで停戦すれば、他地域で紛争を起こす」との分析を寄稿。ロシアは近く、周辺国での紛争の平和的解決をうたって2012年に策定した外交政策を見直す構えだ。
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