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Saturday, August 19, 2023

起業に便利な「合同会社」、不当な出資勧誘に悪用…「連絡取れない」トラブルも - 読売新聞オンライン

 スタートアップ(新興企業)の起業スタイルとして人気を集める「合同会社」を巡って出資トラブルが相次ぎ、金融当局が規制強化に乗り出している。本来は少人数が出資して経営するが、最近では不特定多数の投資家から資金を集めるケースも増え、不当な勧誘が行われている可能性もあるためだ。専門家は「合同会社の仕組みを理解した上で出資することが欠かせない」と警鐘を鳴らす。(落合宏美)

 「月利3%の投資先がある」。東京都内の30代男性は2019年頃、資産運用を検討する中で、投融資業を営む合同会社の「従業員」から会社への出資を勧められた。「FX(外国為替証拠金)取引でもうけている」「出金は自由にできる」という説明にも魅力を感じ、100万円分を出資した。

 合同会社に出資すると、株式会社の株主への配当のように業績に応じて利益の分配を受けられる。また、会社法の規定で出資を引きあげる時には持ち分が払い戻される。一方で、元本割れのリスクがあり、出資をやめる時期も会社の定款で制限されることがある。

 男性は、リスクを十分に説明されないまま投資額を増やしたが、今春に突如、出金を拒否されたという。男性は「出資の引きあげを申し出たが、定款を理由に『できない』と言われて途方に暮れた」と振り返った。

 合同会社は少人数の出資者が経営にあたり、株式会社と比べて自由度が高いことから、最近ではスタートアップが会社化するケースが多い。一方で、SNSなどを通じ、合同会社への出資を不特定多数に呼びかけるケースも増え、金融庁には、トラブルの相談や苦情がこの4年で約250件寄せられた。年齢層は幅広く、中には「会社と連絡が取れなくなった」という深刻な事例もある。

 訴訟に発展するケースも出てきた。30代男性が600万円を出資した合同会社を巡って昨秋、投資家ら約50人が同社に出資金の払い戻しを求める訴訟が東京地裁に起こされた。同社側は訴訟で「代表社員の裁量で金額を制限できる」との定款を盾に払い戻しを拒否したが、今年5月の地裁判決は、同社側が事業や財政の詳細な状況を説明せず、代表社員の裁量が合理的かどうかが立証されなかったとして、全員に総額4億8000万円を払い戻すよう命じた。

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