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Tuesday, November 21, 2023

職場に共通言語がある会社、みんなの言葉が通じない会社、その違いとは? - ダイヤモンド・オンライン

【対談 マザーハウス・山崎大祐×佐宗邦威】理念経営の実践者たち #20

「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げ、バングラデシュをはじめとした発展途上国で生産したアパレル製品や雑貨などを販売するマザーハウス。2006年の創業以来、代表の山口絵理子さんとともに同社を牽引してきた山崎大祐さん(副社長)は、佐宗邦威さんの著書『理念経営2.0』について「困っている経営者がすぐに使える」「書いてあること全てがエッセンス」と絶賛している。
一方で、マザーハウスは佐宗さんが『理念経営2.0』を執筆するうえで大いに参考にした企業の一つでもある。このたび、書籍刊行をきっかけとして、お二人による対談が実現した。その一部始終をご紹介する(第1回/全4回 構成:フェリックス清香 撮影:疋田千里)。

職場に共通言語がある会社、みんなの言葉が通じない会社、その違いとは?

「あったほうがいいかな」レベルの理念は浸透しない

佐宗邦威(以下、佐宗) 『理念経営2.0』を読んでくださったとのこと、ありがとうございます! 山崎さんをはじめ、さまざまな経営者のお話を参考にしながらこの本を書いてきたのですが、率直なところ、お読みいただいてどうでしたか?

山崎大祐(以下、山崎) 書いてあることがすべてエッセンスで、めちゃくちゃ丁寧に書かれていると感じましたね。世の中的には「パーパス経営」「ミッション・ビジョン・バリュー」などが注目されるようになりましたが、理念経営関連の書籍でいちばん嫌なのは、単に「言葉を置けばいいんですよ」と伝える本なんです。でも佐宗さんの本は、「どうつくるか?」だけでなく、「なぜ言葉が必要か?」から丁寧に整理されていて非常に親切ですよね。

佐宗 ありがとうございます! 山崎さんにそう言っていただけると、本当にうれしいですね。

山崎 「一応あったほうがいいかな」という程度の言葉では浸透しないし、会社にとってなんにもならないんです。

マザーハウスでは1年目から「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念をつくっていましたが、じつはその下にタグラインがあったんです。また、6つのバリューの言葉もつくったこともありました。しかし、タグラインはたまに使うことはありますが、6つのバリューのほうはなくなってしまいました。確固たる意思があったわけではなく、「あったほうがいいかな」という気持ちでつくったからでしょう。

でも、これは「言葉はどうでもいい」ということではないんです。ぼくたちは「言葉を生み出すこと」もつねに大事にしてきました。

佐宗 どういうことでしょう?

山崎 ぼくたちは1年に1回、マザーハウスの今をお客様に伝えるためのサンクスイベントを行っています。そこで毎年、イベントのテーマを設定しているんですが、そのテーマというのが、会社にとってその年でいちばん大事にしたい言葉になっているんです。

佐宗 サンクスイベントが、お客さんだけでなく、社員のみなさんとも価値観を共有する場になっているんですね。

山崎 そうなんです。1000人規模のイベントですが、イベント会社やPR会社をいっさい入れずに自社だけで運営しています。しかも、有料開催にこだわっているので、なんとしてもお客さんに喜んでもらわないといけません。

今年のサンクスイベントは「Our Dream」がテーマで、バングラデシュのスタッフさん2人に来てもらったんですよ。彼らの目を通じて、これまでのマザーハウスの道のりを語ってもらうようにしたんです。そこで紡がれるストーリーをお客さんに見てもらうのも大事ですが、運営側の社員にとっても、マザーハウスが大切にしてきたことを知る貴重な機会になったと思います。

佐宗 そして、その「Our Dream」というテーマが、今年1年のマザーハウスにとっても大事な言葉になるわけですね。

山崎 そうなんです。全社でサンクスイベントを盛り上げていくので、そのあと社員たちも日常的に使うようになります。共通の価値ある体験があれば、言葉は流通するんですよね。

企業内の文化を醸成していくうえでいちばん必要なのは、「企業にとって意味のある言葉」を流通させることなんだと思います。だから、言葉に関してはずっと意識してきました。

職場に共通言語がある会社、みんなの言葉が通じない会社、その違いとは?
山崎 大祐(やまざき・だいすけ)

株式会社マザーハウス代表取締役副社長

1980年、東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。日本法人で数少ないエコノミストの一人として活躍し、日本およびアジア経済の分析・調査・研究に従事。在職中から後輩の山口絵理子氏(現・マザーハウス代表取締役)の起業準備を手伝い、2007年3月にゴールドマン・サックス証券を退職。マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。現在、マーケティング・生産の両サイドを管理。また、さまざまなテーマで社外の人と議論を深める「マザーハウス・カレッジ」も主催。

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