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Sunday, March 3, 2024

桐たんすの会社が糸やプラをつくるまで 工業製品には負けない職人魂:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

カンサイのカイシャ ここがオモロイ!

 かつては多くの家にあった桐(きり)たんす。高温多湿の日本で、湿気を嫌う衣類や美術工芸品の保管に重宝されてきました。日本人の生活様式が変わり、以前のようには売れない時代に何ができるか。桐たんすメーカーの4代目は桐の機能に着目し、暮らしとの関わり方を探っています。

 大阪の桐たんすは、江戸中期には製造技術が確立されていた。「天下の台所」はタンス需要も高かったらしい。伝統工芸品「大阪泉州桐箪笥(たんす)」は、職人の技で丈夫に、細部まで丁寧に美しく仕上げられていることで知られる。

 岸和田市の桐たんすメーカー「留河(とめかわ)」の創業は1912年。初代通天閣が天王寺に完成したころで、庶民はまだまだ着物を着ていた。

 小学生のころから家業を手伝ってきた4代目の留河昇さん(50)が職人になったのは、高校の卒業式の翌日。「『明日から工場に入れや』と、3代目だった父に告げられました」と振り返る。

 その3代目の急病で事業を引き継いだのは、バブル崩壊後で景気も悪化した1998年。25歳だった。長らく桐の製品をつくってきた留河だったが、ライフスタイルの変化で需要は右肩下がり。市内に十数社あった同業者も徐々に減っていた。

 職人の技を現代の生活にマッチさせよう。新しいもの好きの留河さんは思い立ち、暮らしにより身近な商品開発に取り組んだ。百貨店に行っては、フロアをくまなく見て回り、新しい桐製品のヒントを探すのが習慣になった。

驚くほど売れた新商品、類似が出て「こてんぱん」に

 桐は防虫や調湿の効果があり、軽くて丈夫で加工しやすい。ネット販売できる身近な製品としてぴったりだったのが米びつ。気密性が高い桐たんすの組み立て技術を応用した。1合ずつ計量できる仕組みも施すとネットで人気商品に。冷蔵庫のドアポケットに収納できるタイプは、大手通販会社が販売してくれた。

 5千円以上する米びつは驚くほど売れた。ところが、樹脂製で980円の類似商品が数カ月後に売り出されると、売れ行きはぴたりと止まった。「こてんぱんにやられました」

 コーヒー豆入れや薬入れもつ…

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