組織変革に苦慮する企業は少なくない。だが、組織刷新に着手して6年で売上を約2倍、労働生産性を約3倍にした企業が存在する。遊技事業を中軸とする中堅企業メッセだ。2021年から3年連続で「ベストモチベーションカンパニーアワード」で日本一を獲得し、現在は事業多角化を推進する。同社はいかに「組織のトランスフォーメーション(X)」を成功させたのか。本連載では、『組織X 「エンゲージメント」日本一3連覇企業が語る、24のメソッド✕事例』(宮本茂、白木俊行著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。「普通の人が最高の組織をつくる」ための実践的方法論を紹介する。
第1回は、組織変革の前提である「Why/What/How」の原則について確認する。
<連載ラインアップ>
■第1回 「普通の会社」がなぜ、「エンゲージメント日本一」3連覇を達成できたのか?(本稿)
■第2回 誰でもできる組織変革のフレームワーク「経営の4P」とは(6月4日公開)
■第3回 何のために経営しているのか? 社員が働く意味を見出すための「Philosophyの3原則」とは?(6月11日公開)
■第4回 何のために会社をつくったのか? 新生メッセの「あるべき姿」を導き出した「ロールスイッチ」の思考とは?(6月18日公開)
■第5回 事業と組織は表裏一体、最高の組織づくりに不可欠な事業戦略はどう策定する?(6月25日公開)
■第6回 メッセはなぜ、東京の「中央線沿線」に店舗を集中させたのか?(7月2日公開)
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概論~変革の秘訣は「3つのキーワード」にあった
『組織X』の本論に入る前に、第1章ではまず、私たちメッセがたどってきた軌跡を概論としてまとめたPart.1、物語形式でお届けするPart.2、『組織X』へとつながっていくPart.3にわけてお伝えします。
いかに「普通の会社」が、苦労しながらもエンゲージメント日本一を獲るに至ったのかを、できる限り赤裸々に綴りました。特に経営者の方には、共感していただけるエピソードも多いはずですし、これを読んでいただければ「自分にもできる」と感じていただけるのではないかと思います。
先に『組織X』の結論を知りたい方は、第2章以降を読んでから第1章に戻ってきていただいても構いません。実践のポイントを手早く知りたいという方には、そちらをおすすめします。
さて、当社が2021年から3年間にわたって、「エンゲージメント日本一」3連覇をしたことは先ほどお伝えしました。では「普通の会社」を自認する私たちが、いかにして日本一に踊り出たのか。これは、何も特別なことはありません。私たちは「聞いてみれば当たり前だけど、みんながやっていないことをやり続けた」だけです。いい換えれば、「一番を目指し、成功している企業がやっていることを、自分たちにもできると信じて、ひたすら徹底的に実践した」のです。中堅企業は特に「自分たちにはできない」と決め込んで、最初からやらないことが多くあるように思います。「成功企業が当たり前に行っていること」を、「あの会社は歴史ある大企業だから」とか「逸材揃いだから」と理由をつけて、諦めてしまっているのです。
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