カイコは個々がバイオリアクターの機能を果たすため、開発したタンパク質は頭数を増やすだけで、医薬品・ワクチンの量産が可能です。新たな感染症が発生した場合、本プラットフォームは少量多品種の生産に対応可能であるため複数薬の同時並行開発ができ、即座のスケールアップ大量生産が可能となります。
今回の新型コロナウイルスに関しては、技術導出元である九州大学農学研究院日下部研究室が主導し、組換えウイルス抗原と組換え抗ウイルス抗体の共同開発を進めてまいりました。今般、抗原に関しては新型コロナウイルスのSプロテイン三量体の開発に成功し、複数の抗体との結合を確認しました。この結果を受けて抗原・抗体を合わせて供給できることによりパートナー企業と抗体検査キットの開発をはじめました。また抗原Sプロテインはワクチン候補として今後量産体制を確立し製薬企業へ共同開発のアプローチを行います。
■今回の資金調達の目的と今後の展開
今回の調達資金は、今後の事業展開に必要なGMP*ルールに則った生産設備の施工及び機器の設置、また研究開発・生産を担う人材増員のために使用致します。また日本の強みを持ったカイコ・バキュロウイルス発現によるタンパク質開発を、世界に展開することを計画しています。
* GMP(Good Manufacturing Practice): 医薬品の製造業者および製造販売業者に求められる「適正製造規範」(製造管理・品質管理基準)のこと。品質管理とは、医薬品等の原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などに係る業務である。
■九州大学のカイコによる組換えタンパク質の生産
近年の創薬市場はバイオ医薬品と呼ばれるタンパク質製剤がメジャーとなり、治療薬がなかった疾病にも効果をもたらしていますが、それでも求められるタンパク質全てが生産できるわけではありません。KAICOは九州大学のオリジナルカイコを利用しカイコ・バキュロウイルス発現法*により、再生医療用研究試薬やワクチン、診断薬などの大きな潜在需要がありながら、低コスト生産が実現できていない難発現性タンパク質を大量生産できる生産プラットフォームを商業的に構築しました。
*カイコ・バキュロウイルス発現法
目的タンパク質DNAをバキュロウイルスに挿入し、このバキュロウイルスをカイコ体内に注入することにより、 ウイルスの増殖に従い目的タンパク質が発現されます。発現された目的タンパク質を体内から回収し、精製します。KAICOは大量発現に適したバキュロウイルスと、挿入するDNAコンストラクト作成にノウハウを保持しています。
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May 25, 2020 at 09:54AM
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九州大学発ベンチャーKAICO株式会社 シリーズAラウンド資金調達完了 技術導出元の九州大学主導により新型コロナウイルスの抗原・抗体を開発 - PR TIMES
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