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Monday, June 22, 2020

世界で最も愚直な会社、アマゾンの脅威 - @IT MONOist

物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する本連載。第10回は、従来のセグメンテーションでは捉えられないプラットフォーマーの代表的存在であるアマゾン(Amazon.com)の戦略について取り上げる。

 本連載では、第6回から「サプライウェブ時代のプラットフォームビジネス」を紹介してきました。トラック(第6回)ロボット(第7回)ソフトウェア(第8回)そして物流施設(前回)と、特定の領域を対象に、トランスフォーメーションの方向性を概説してきたわけですが、そういった従来のセグメンテーションでは捉えられないプラットフォーマーが出現しつつあります。今回は、その代表的存在であるアマゾン(Amazon.com)のプラットフォーマーとしての戦略を解説します。

⇒連載『サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会』バックナンバー

アマゾン=世界で最も愚直な会社

 アマゾンほど成長戦略のセオリーに忠実な会社も珍しいといえるでしょう。世界の変化をきちんと見据えた上で、目指す姿を描き、その実現に向けた大胆な戦略投資を愚直に実行しているからです。同社は創業以来、売上高を着実に拡大し、昨期には2800億米ドル(約29兆9000億円)を超えるに至りました。直近5年間の年平均成長率は26%と、この規模の企業としては突出して高い水準にあります。

 一方で、純利益率は4.1%と決して高くはありません。年によっては赤字です。そして、創業から現在に至るまで一度として配当で利益を還元したことがありません。なぜなら、「利益になったはずのものを常に事業の未来に再投資しているから」です。目先の収益に左右されず、目指す姿への歩みを断固として進めているのです。

アマゾンの業績推移 アマゾンの業績推移(クリックで拡大) 出典:アマゾンの会社発表資料より筆者作成

 2015年7月、アマゾンはついに株式時価総額で世界最大の小売事業者であるウォルマート(Walmart)を超えました。それから5年後の2020年5月末時点での時価総額は1兆2182億米ドル(約130兆円)で、同3515億米ドル(約37兆6000億円)のウォルマートと比べて3倍以上の規模になっています。

 アマゾンは配当していないのにもかかわらず、売上高で倍近くの差がある世界最大の小売事業者よりも投資家の支持を得られているのです。ウォルマートの2020年2〜4月期(第1四半期)はコロナショックにより近年まれに見る好業績でした。既存店の売上高は前年同月比で10%増と、ほぼ20年ぶりの高い増収率を記録しました。そのウォルマートよりもアマゾンのビジネスモデルの将来性は投資家の高い評価を得ているといえるでしょう。

アマゾンとウォルマートの株式時価総額と売上高の比較 アマゾンとウォルマートの株式時価総額と売上高の比較(クリックで拡大) 出典:株式市場データ、アマゾン及びウォルマートの会社発表資料より筆者作成

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