
アジア中心に広がりつつある食品サンプル
――五輪で日本の食品サンプルが話題となりましたが、日本以外にはあまり無い文化なのでしょうか。 倉橋幸子(以下、倉橋):ヨーロッパ圏だと、飲食店のメニューは文字だけのシンプルな場合がほとんど。食品サンプルがあれば、その料理の味つけ、入っている食材やボリュームなどが一目で分かります。また、指すだけでオーダーできるのは言語を超えた画期的なシステムですよね。 ――海外からのオーダーが入ることも多いとか。食品サンプルは国外ではどう受け入れられていると思いますか? 倉橋:日本人が海外で飲食店を開いたり、来日した人が自国で広めたり、すでに中国や台湾、韓国など、アジアを中心に浸透しつつあります。例えば、インドの日本企業から「カレーパン」のオーダーが800個入ったことがあります。インドではカレーパンの知名度が低く、ピロシキと間違うパターンも。パンを半分に割った状態の食品サンプルを設置したら中身がわかりやすく、大反響だったとか。 タイではかなりサンプル文化が進んでいて「サイアム・パラゴン」という大手百貨店では日本と同じく飲食店に「食品サンプルを置かないとオープンしてはいけない」いうルールが設けられているほど。私が視察した際には、工場も2~3箇所できていました。 また、独自の進化をしているのも面白いですね。日本の場合、お刺身やお寿司など生ものを表現したり、食材を並べる文化があるため繊細な表現ができる「軟質塩化ビニール」を使用することが多いんです。タイにはそのような文化がないので、タイ料理を表現しやすい、硬くて強いレジン素材を使用しています。
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