「値上げの春」です。原油価格や原材料の高騰で4月も値上げラッシュです。電気・ガスは標準家庭1カ月でそれぞれ127円、101円アップします。食品ではサラダ油、トマトケチャップ、レトルトのカレー、安さが人気のあのスナック菓子も…。信州に根付く「粉もの文化」への影響が大きい、輸入小麦も政府の売り渡し価格が上昇します。「値上げの春」は長野県民に長く愛されてきた「名物」や「郷土の味」にも及んでいます。
少し丸い生地の上にたっぷりのあんこ。上田市民に80年以上親しまれてきた「志゛まんやき」です。
海野町商店街に店を構える「富士アイス」。この日も、多くの客が列を作っていました。
市内から:
「あっつ。懐かしい感じの味で、めっちゃおいしいです」
創業は昭和10(1935年)年。東京の今川焼がルーツですが、今や上田のソウルフード。味はもちろんですが、1個80円という安さも人気の理由でした。
しかし…。
富士アイス3代目・北川大さん:
「80円の志゛まんやきを90円にさせていただきます。申し訳ないです。原料の高騰、輸送費もありますが、パック・箱・包み紙も上がったので、どうしても80円では大変かなと」
値上げは消費税が3%から5%に変わった1997年以来、実に四半世紀ぶりです。コロナ禍からの経済回復で小麦粉などの需要が世界中で伸びています。その影響で材料の仕入れ値が2割程度上がったのが、値上げの主な要因です。
客は…
市内から:
「10円くらいで変わるものではないので、買わせていただきたいと思う」
新潟から帰省:
「安いに越したことはないけど、お店が続くのが一番だと思うので」
値上げに理解を示す客。店はこれからも変わらぬ味で、期待に応えたいとしています。
富士アイス3代目・北川大さん:
「10円値上がっちゃうけど、引き続きお客さんが来てくれたらありがたい。変わらない味を上田市民、長野県民の皆さんに届けたいと思います」
小麦粉の価格上昇の影響は郷土の味「おやき」にも…。
「御開帳」を控えた善光寺門前の「門前農館さんやそう」。野沢菜や野菜ミックスなど15種類を扱っています。
客:
「だいたいみんなおいしい。野沢菜とナスが大好物」
参拝客にはうれしい信州の味ですが…
門前農館さんやそう・芳川智恵社長:
「1個145円、それをやっと腰上げて160円に。心配、お客さんが逃げていってしまわないかと」
小麦粉などの仕入れ値上昇で、1個15円の値上げ。期待の「御開帳」を前に値上げするのは、難しい判断だったと言います。
折からの需要増に加え今、ウクライナ危機が小麦粉の価格上昇の一因になっています。
ロシアもウクライナも小麦の生産国。戦闘が長引けば、郷土の味にもさらに影響が及ぶかもしれません。
門前農館さんやそう・芳川智恵社長:
「もう手探りの状態で、値上げも売り上げもどうなるかと心配。とにかく平和に、おやきがおいしいと食べられる世の中でありたいなと」
一方、コスト上昇と消費低迷のダブルパンチを受けているのが酪農家です。
三村牧場・三村誠一さん:
「いかにかわすか、生き延びるか、考えどころですね。いかに経費を減らしていくか」
松本市の三村牧場は、およそ250頭のホルスタイン種を飼育。「生乳」を1日4トンほど出荷しています。
年間の売り上げは1億7000万円ほどになりますが、エサ代、燃料代、電気代の高騰で厳しい経営を強いられています。
エサはアメリカなどから輸入した牧草と自家製の草をブレンドし、そこに輸入のトウモロコシや大豆を加えています。
原油価格の上昇で海上運賃が値上がりし、コロナ禍で船の輸送も不安定なため、輸入の草だけで去年に比べひと月60万円上昇しています。
三村牧場・三村誠一さん:
「長野は港からここへ来るだけで(1kg当たりのエサ代)5円、6円のお金がかかっちゃう。牛のエサ代を払って(設備投資の)借金払って残ったものがわれわれのもうけだけど、その分がなくなるに等しいくらいになってる」
さらにコロナ禍で学校の休校や外国人旅行客の減少で需要が落ち込み、「生乳の大量廃棄」の危機も。ダブルパンチで酪農は厳しい状況が続いています。
三村牧場・三村誠一さん:
「(生乳を)できれば飲んで消費していただく、それを切に願うばかり」
生産者にとっても消費者にとっても痛い値上げラッシュ。県内も「がまんの春」を迎えています。
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