イタリアUniversita Cattolica del Sacro CuoreのLuca Richeldi氏らは、ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬のBI 1015550を、特発性肺線維症(IPF)患者に12週間にわたって経口投与する第2相臨床試験を行いプラセボに比べ、肺機能の低下が抑制されたと報告した。結果は2022年5月15日のNEJM誌電子版に掲載された。
IPFは不可逆的に進行する肺疾患で死亡率が高い。IPFの進行を遅らせるために、抗線維化薬であるニンテダニブとピルフェニドンが治療に用いられている。しかしこれらの薬は、線維化を阻止することはできないため、より効果の高い治療薬が求められている。
ホスホジエステラーゼ4の阻害は、抗炎症作用と抗線維化作用を持つことが示唆されており、IPF患者に利益をもたらす可能性がある。中でも、PDE4Bサブタイプに対する特異性の高い阻害薬は、非選択的なPDE4阻害薬に比べ安全性が高いため、有望と考えられている。
そこで著者らは、PDE4Bサブタイプを優先的に阻害する経口薬のBI 1015550をIPF患者に用いる第2相臨床試験を実施することにした。この試験には22カ国の90施設が参加しているが、IPFはまれな疾患であるため、短期間に多数の被験者を集めるのは困難だ。そこで、ニンテダニブに関する臨床試験試験(2~4相)に参加した患者から得られたヒストリカルデータを対照群に利用することにした。
組み入れ対象は、国際的ガイドラインに従って診断された年齢40歳以上のIPF患者で、努力性肺活量(FVC)が予測値の45%以上であり、ヘモグロビン濃度補正した一酸化炭素肺拡散能(DLCO)が予測値の25%以上80%未満の人とした。ニンテダニブやピルフェニドンによる安定した用量の抗線維化治療を受けている人は継続しても良いこととした。気道閉塞を起こした人、最近呼吸器感染症にかかった人、1日15mgを超えるプレドニゾロン使用者などは除外した。
参加者は2対1の割合でBI 1015550群またはプラセボ群に割り付けた。BI 1015550群は1日2回18mgを経口投与し12週間継続した。その後1週間の観察期間を設けた
主要評価項目は、ベースラインから12週後までのFVCの変化とし、患者を抗線維化薬の併用の有無で層別化して分析した。副次評価項目は、治療期間とその後1週間に有害事象を経験した患者の割合や、ヘモグロビン濃度を補正したDLCOのベースラインからの変化などに設定した。
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