第3のビール(新ジャンル)などを除いたビール市場が右肩下がりの中、実は7 年連続で売り上げを伸ばし続けているブランドがある。「サッポロ黒ラベル」だ。発売から45年。ビール市場の縮小と軌を一にして売り上げが下がり続けた時期もあったが、2014年に底を打ち、そこから一貫して成長を続けている。ロングセラーとしては異例の動きと言っていい。黒ラベルは、なぜV字回復できたのか。そこにはテレビCM「大人エレベーター」シリーズに代表される、「大人の☆生」に見出したブランディング強化策があった。
サッポロビールのロングセラーブランドである「サッポロ生ビール黒ラベル」(以下、黒ラベル)。2000年代半ばから第3のビール(新ジャンル)の台頭などにより売り上げが落ち込み始めたが、2014年に底を打ち、その後V字回復を遂げた。きっかけとなったのが、今なお続く「大人」というコアコンセプト。「黒ラベルとは何者なのか」の原点に立ち返り、徹底したユーザーヒアリングを行った結果、たどり着いたという。そこから新たなコンセプトに基づいたテレビCMの放映を開始するなど、黒ラベル再起に向けた進撃が始まった。復活の象徴とも言える「大人」を導き出した当時の担当者と、現在の黒ラベルのマーケティング責任者が語る、時代を経ても愛されるブランドであるために守り続けること、また時代の変化に合わせて柔軟に変えるべきこととは。
ファンが支持する理由は何か? 原点に返り生まれた「繁盛店の生」
黒ラベルの起源は、1977年にまで遡る。熱処理ビールが一般的だった70年代、飲食店で樽(たる)生ビールが人気だったことから、家庭でも生ビールのおいしさを楽しめるようにと、「サッポロびん生」という商品名で発売された。商品名が「黒ラベル」に変わったのは、89年。以前からファンの間で親しまれてきた愛称が、正式なブランド名として採用されたのだ。今でこそSNSを通じて企業と個人が直接つながるようになり、ファンのリアルな意見がブランドや商品に影響を及ぼすことは珍しくなくなった。しかし黒ラベルはそれよりずっと以前から、「ファンの声」によって成長してきたのだ。
ファンの支持とビール市場全体の盛り上がりを受け、90年代半ばまで黒ラベルは右肩上がりの成長を続けた。しかし時代変化とともに、発泡酒や第3のビール(新ジャンル)が出てくるとビール自体の存在感が薄れ、成長に陰りが見え始めた。
顧客獲得の場がビールから第3のビールへの移り始めてきた2000年代半ば、苦しい状況を打破するためにマーケティングの強化が求められた。ちょうどその頃、05年、06年は、黒ラベルがサッポロビールのフラッグシップブランドとして、企業のDNAでもある「原料へのこだわり」をアピールする役割を担っていた時期でもあるという。
しかし、ブランドパーソナリティーの強化につながる要素として、「本来、黒ラベルブランドにお客様がどのような“良いこと”を感じているのか。黒ラベルのブランドパーソナリティーとはどんなものか。どの“良いこと”を競争軸にすることが顧客にとってもブランドにとってもベストなのかが、企業ブランドと黒ラベルが一体化することでお客様にとって見えにくくなってしまった。黒ラベル自体のマーケティングが迷走していたとは言わないが、軸がぶれてしまったことは事実。黒ラベルとは何者なのかが、一番見えなくなったときかもしれない」。こう語るのは、販売元のサッポロビールで、当時黒ラベルのマーケティングを担当していた現マーケティング本部ビール&RTD事業部長の武内亮人氏だ。
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