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Sunday, September 10, 2023

G20ニューデリー・サミット(概要)|外務省 - Ministry of Foreign Affairs of Japan

令和5年9月10日

セッション1及びワーキングランチに臨んでいる岸田総理大臣 セッション1及びワーキングランチに臨む岸田総理 (写真提供:内閣広報室)
G20サミットの会場の様子 セッション1及びワーキングランチに臨む岸田総理 (写真提供:内閣広報室)
セッション3に臨んでいる岸田総理大臣の様子 セッション3に臨む岸田総理 (写真提供:内閣広報室)

 現地時間9月9日及び10日、G20議長国インドの主催により、同国ニューデリーにおいてG20ニューデリー・サミットが開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
 今回のG20サミットでは、「一つの地球、一つの家族、一つの未来(One Earth, One Family, One Future)」のテーマの下、食料安全保障、気候・エネルギー、開発、保健、デジタルといった重要課題について議論が行われ、岸田総理大臣は、セッション1(「一つの地球」)及びセッション3(「一つの未来」)で発言を行いました。議論の総括として、G20ニューデリー首脳宣言が発出されました。
 また、岸田総理大臣は、29か国以上の首脳と会場内外で簡単な会話を交わしました。

1 セッション1「一つの地球(One Earth)」

 本セッションでは、世界経済、食料安全保障、気候・エネルギー、環境等について議論が行われました。ロシアのウクライナ侵略に関し、日本を含む多くのG20メンバーから、国連憲章を遵守し、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現することの重要性が強調されたほか、G20として深刻化する世界経済への影響に対応する必要性が確認されました。

  1. 岸田総理大臣から、冒頭、国際社会は複合的な危機に直面しており、国際経済協力のプレミア・フォーラムであるG20における協力がますます重要である旨述べました。また、岸田総理大臣から、日本が議長として開催したG7広島サミットでは、G7以外の国も交え、国際社会の諸課題に対応するため幅広いパートナーの協力が重要であることを確認した旨紹介するとともに、モディ・インド首相との間で、G7の成果をG20につなげることを繰り返し確認してきている旨述べました。
  2. 岸田総理大臣は、ロシアによる侵略により、食料・エネルギーを含め世界経済の困難は深刻化しており、G20として対処する必要がある旨指摘しました。また、岸田総理大臣は、格差を是正しつつ、持続的で包摂的な成長の実現に向けた経済政策を行っていく必要があり、サプライチェーン強靱化や企業統治改革も重要である旨強調しました。更に、世界貿易機関(WTO)を中心とする、ルールに基づく自由で公正な貿易体制は、世界の成長及び安定の基盤であり、来年の第13回WTO閣僚会議に向けて協力したい旨述べました。
  3. 岸田総理大臣は、本年はSDGs達成に向けた中間年であるが、その進捗状況には危機感を覚えざるを得ず、G20が率先してその達成に向けた取組を主導すべき旨強調しました。
  4. 岸田総理大臣は、食料問題に関し、G7広島サミットで招待国も交えて具体的な行動計画をとりまとめ、データの充実化に向けたG20の「農業市場情報システム(AMIS)」や、インドが主導する「雑穀とその他古代穀物に関する国際研究イニシアティブ(MAHARISHI)」といった取組の重要性を確認した旨紹介しつつ、持続可能で強靱な農業・食料システムの構築に取り組んでいきたい旨述べました。また、世界の食料安全保障を確保するため、国連が関与する国際的な枠組みにロシアが復帰することを強く期待する旨述べました。
  5. 岸田総理大臣から、G7広島サミットでは、招待国も交え、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、主権、領土一体性の尊重といった国連憲章の原則の重要性につき認識を共有したことを紹介しました。また、岸田総理大臣から、G20の協力の基盤を揺るがしているロシアによるウクライナ侵略は、昨年のG20バリ・サミットにおいてほとんどの首脳が非難したにもかかわらず、今も続いており、一日も早くロシアが部隊を撤退させ、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現することが重要である旨述べました。更に、岸田総理大臣から、ロシアの核による威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならない旨強調し、国際社会が一致して明確なメッセージを発する必要がある旨述べました。また、紛争下で脆弱な立場におかれた人々に対する国際社会からの支援も重要である旨述べました。
  6. 岸田総理大臣は、環境に関し、日本はモディ首相が推進する「環境のためのライフスタイル」を支持しており、人々の生活様式の変容に向けて共に取り組んでいきたい旨述べました。更に、岸田総理大臣は、海洋プラスチックごみに関する「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向け、また、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を持って、プラスチック汚染に関する条約の交渉に主導的な役割を果たしていくとの決意を示しました。
  7. 岸田総理大臣は、気候・エネルギーに関し、気温上昇を1.5℃に抑えるべく、パリ協定の実施が喫緊の課題である旨指摘し、第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)に向け、全締約国に対し、2050年ネット・ゼロ、2025年までの世界の温室効果ガス排出量のピークアウトのコミットメントを期待する旨述べました。また、岸田総理大臣は、包摂的な投資を通じた、経済成長やエネルギー安全保障を損なわない脱炭素経済への転換も必須であり、各国の事情に応じた多様な道筋の下で、ネット・ゼロという共通のゴールを目指すべき旨強調しつつ、日本として、あらゆる技術やエネルギー源を活用してイノベーションを推進し、各国の取組を後押ししていくとの考えを表明しました。更に、岸田総理大臣は、脆弱な国への更なる支援も必要である旨指摘し、先進国全体で年間1千億ドルを動員する目標は本年中に達成される見込みであることを紹介しつつ、今後、能力を有する全ての締約国及びステークホルダーによる資金動員への貢献も重要である旨述べました。
  8. 岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出は、国際基準及び国際慣行に則り、安全性に万全を期した上で実施されており、IAEA包括報告書においても人及び環境に対する放射線影響は無視できる程度とされていること、先月の放出後もモニタリングしたデータを迅速かつ透明性高く公表しており、科学的観点から何ら問題は生じていないこと、今後も、IAEAや第三国分析機関の関与を得て、データの信頼性を客観的に確認していくことを説明しました。その上で、これらの点については、国際社会において広く理解が得られているが、一部の国が、今回の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面的に一時停止するなど突出した行動をとっているとし、日本としては、今後とも、科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を求めていく旨述べました。また、日本は引き続きIAEAとも緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って国際社会に丁寧に説明していく旨述べました。

2 セッション2「一つの家族(One Family)」

 本セッションでは、包摂的な成長、SDGs、保健等について議論が行われました。G20メンバーは、貧困対策や格差の是正、SDGsの達成に向けた取組の加速、次なるパンデミックへの備え等の重要性を確認しました。

3 セッション3「一つの未来(One Future)」

 本セッションでは、多国間システムの改革やデジタル等について議論が行われました。

  1. 岸田総理大臣は、アフリカ連合(AU)のG20への加盟に関し、近年の国際社会におけるアフリカ諸国の役割の増大を踏まえ、日本として改めて支持を表明しました。
  2. 岸田総理大臣は、我々が直面する課題を克服し、より良い未来を実現するためには、多国間システムの改革が必要である旨述べつつ、世界の未来は途上国の未来にかかっており、その持続可能な成長を支えていく必要がある旨指摘し、途上国の開発ニーズに応えるため、国際開発金融機関の改革に取り組んでいく旨述べました。また、岸田総理大臣は、国際ルール・スタンダードを遵守した透明で公正な開発金融について、より多くの債権国及び債務国の間で重要性を共有していく必要があり、G20でも取組を促進すべき旨述べました。岸田総理大臣は、深刻化する途上国の債務問題に対応すべく、「債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)を越えた債務措置に係る共通枠組」やスリランカの債権国会合等による迅速な債務再編が不可欠である旨強調しました。更に、岸田総理大臣は、インフラ投資に際しては「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の実施を促進すべきであり、日本は、本年3月に発表した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たなプランの中で、インフラ面で2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をインド太平洋地域に動員することを表明した旨述べました。
  3. 岸田総理大臣は、多国間システム改革を進めるにあたり、国連の機能を強化することは急務であり、特に安保理は改革しなければならない旨強調しました。また、今日、安保理改革を緊急に進めるべきとの認識は途上国を含め広く共有され、モメンタムが高まっている旨指摘しつつ、来年の未来サミット等を見据え、共に具体的行動に繋げたい旨述べました。
  4. 岸田総理大臣は、保健に関し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成、危機に際する迅速かつ効率的な資金供給などの次なる健康危機への予防・備え・対応(PPR)の強化を重視している旨述べました。特に、G7広島サミットで打ち出した感染症危機対応医薬品等(MCM)のデリバリーの強化について、G20でも重要性を確認できたとし、G20各国や世界保健機関(WHO)、世界銀行などと連携していきたい旨述べました。
  5. 岸田総理大臣は、デジタルに関し、より良い未来のためには、デジタルを始めとする新しい技術への投資が鍵である旨指摘しつつ、デジタル技術の飛躍的な進展は経済や社会に積極的影響をもたらしている一方、ガバナンスが問題となる旨述べるとともに、偽情報を含む情報操作への対策も重要な課題である旨述べました。また、岸田総理大臣は、デジタル経済の核はデータであり、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の理念の下、その具体化に向けた取組や国際的なルールづくりの議論を主導していく旨強調しました。更に、岸田総理大臣は、生成AIのリスクを低減しつつ、ポテンシャルを最大限引き出し、途上国を含む世界全体の成長に役立てる必要がある旨述べ、「G20AI原則」も踏まえ、信頼できる責任あるAIを推進するためのガバナンスを構築することが重要である旨強調しました。
  6. 岸田総理大臣は、国際課税に関し、デジタルサービス税に係る貿易紛争を防ぎ、早期に国際課税システムの安定を図るため、多数国間条約の署名を直ちに開放し、G20各国は本年末までに署名すべきである旨述べました。

(参考1)G20ニューデリー・サミット
  1. 日程
    9月9日(土曜日)
     第1セッション 一つの地球 (One Earth
     第2セッション 一つの家族 (One Family
    9月10日(日曜日)
     第3セッション 一つの未来 (One Future
  2. 参加国・国際機関
    ア G20メンバー
     日本、インド(議長国)、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU
    イ 招待国
     バングラデシュ、コモロ(アフリカ連合(AU)議長国)、エジプト、モーリシャス、オランダ、ナイジェリア、オマーン、シンガポール、スペイン、アラブ首長国連邦
    ウ 国際機関
     アジア開発銀行(ADB)、災害に強靭なインフラのためのコアリション(CDRI)、金融安定化理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、太陽に関する国際的な同盟(ISA)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合(UN)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)
(参考2)別添

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