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Sunday, March 19, 2023

グーグルに会社を売った男が明かす SVB破綻で広がる「ある不安」 - 日経ビジネスオンライン

(写真:Shutterstock)

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3月10日に経営破綻した米シリコンバレーバンク(SVB)。その騒動の余波は今も現地を揺さぶる。シリコンバレーで創業したAI(人工知能)スタートアップ、フラクタの会長で「グーグルに会社を売った初めての日本人」としても知られる加藤崇氏が、騒動に揺れた当時の状況を語った。

安倍俊廣・日経ビジネス編集委員(以下、安倍):シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻したのは、3月10日(金曜)のことでした。加藤さんは、いつどのようにして知ったのですか。

米フラクタ会長、加藤崇氏(以下、加藤氏):3月9日(木曜)の時点で既に、SVBの株価は大暴落していて、それを知らせる「Slack」や「Messenger」(のメッセージ)が社内外から急に増えたことで異変に気づきました。「今後、信用不安が生じるかもしれないから注意が必要だ」といったアラート(警告)が大量に流れてきて、何か大変な事態が起きそうだなと。

破綻「必要なかった」という意見も

 ただ当時はSVBが倒産したり、取り付け騒ぎが起こったりするような事態になるとは、想像できませんでした。SVBが投資していた「モーゲージバック証券などの長期債で評価損が出た」といった話も聞きましたが、会社の預金を守るために、すぐに引き出す必要がある、とまでは思わなかった。フィクストインカム(確定利付き投資)取引で債券を売却したら、余剰金が残るだろう(だから破綻まで至らない)という見方がありましたから。

安倍:しかし実際にはその後、SVBは破綻に至り、「取り付け騒ぎ」も起こりました。

加藤氏:ええ、資金の流動性が極端に圧迫されて破綻に至ったわけですが、「破綻させる必要はなかったのでは」という意見もあるようです。僕はどちらかというとそうした見方をしていたので、流動性が圧迫される事態までは至らないと見ていました。これが水曜の夜から木曜にかけてです。

安倍:SVBが破綻した3月10日(金曜)時点での、フラクタの状況はどのようなものだったのですか。

加藤氏:金曜の早朝に、(サンタクララにある)会社(=フラクタ)幹部とリモート会議をしていて、社長とは「SVBには信用リスクがあるらしいから、当社の預金を半分ほど他行に移すか、あるいは残しておいても大丈夫か」といった議論をしていました。

米フラクタ会長 加藤崇氏

米フラクタ会長 加藤崇氏

早稲田大学理工学部応用物理学科卒。2012年ヒト型ロボットベンチャー、シャフトを共同創業し、その技術に目を付けた米グーグルが13年に同社を買収。「グーグルに会社を売った初めての日本人」となったことでも知られる。15年AIスタートアップ、フラクタをシリコンバレーで創業しCEO(最高経営責任者)に就任、現在は会長。

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