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Saturday, May 20, 2023

人生100年時代に存在感「高齢社」って何する会社? | 地域で光る小さな会社 | 櫻田弘文 - 毎日新聞

 少子高齢化が進み、働き手の減少はいよいよ深刻な問題だ。もう何年も言われ続けている話だが、企業側も危機感を抱き、さまざまな対策を講じようとしている。外国人労働者の受け入れや、人工知能(AI)などテクノロジーの活用もその一つだが、最も現実的なのは高齢者の雇用だ。

 しかし働きたい高齢者と人手不足の企業との間には、さまざまなミスマッチが存在するのも確かだ。実はこの状況に、20年以上も前から向き合ってきた会社が東京都千代田区にある。社名はズバリ「高齢社」(2000年創業)だ。

「意欲はあるのに働く場所がない」

 創業者の上田研二さんは東京ガスの検針員からスタートし、定年の60歳まで勤め上げた人だ。高齢社を創業したのは62歳のとき。関連会社で社長を務めていた時期だった。

 きっかけはガス機器の点火確認業務などの人手不足だ。人員確保に悩む上田さんの頭に浮かんだのは、東京ガスを定年退職し、気力も体力も持て余しているOBたちの姿だった。「意欲はあるのに働く場所がない」「ずっと家にいるので妻の生活リズムを乱している」。そんな声もたびたび耳にしていた。

 だったらこういった人たちに働く場と生きがいを提供しようと、上田さんは高齢者専門の人材派遣業を立ち上げた。残念ながら昨年に亡くなったが、その思いは受け継がれている。

登録者は1170人、平均年齢は71.6歳

 「定年後に高齢者が働く目的は何でしょうか。お金のためという人もいますが、定年後に多くの人が直面するのは社会との接点の希薄さです。家にこもり切りになり、健康を害し、精神的にも参ってしまうケースも少なくありません」

 こう話すのは21年に5代目社長に就いた村関不三夫さん(67)だ。創業から約20年、人生100年時代と言われるようにもなり、高齢社のような会社の存在意義は増している。

 振り返れば創業当時の登録社員は東京ガスのOBを中心にわずか25人だった。「定年後はのんびり暮らしたい」と考える人も多かった時代だ。しかし現在の登録者は1170人まで増えている。平均年齢は71.6歳で、登録者の約35%が就労中だ。大手と比べ登録者は少ないが、就労率は高い。大手の同業者に話すと「そんなに高いんですか」と驚かれるという。本社スタッフ25人の平均年齢も66歳で、ここでも高齢者が戦力となっている。

人気の仕事は「ヨコ乗り」業務

 では実際に派遣先でこなすのはどんな仕事なのか。

 かつては東京ガスとその関連会社の業務が多かったようだが、現在は全体の6割にとどま…

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